エンターテイメント日誌

2005年02月04日(金) 邦画二題 <湖畔で頭突き>

「レイクサイド・マーダ−ケース」評価:C-

まあ、重厚で風格はある。でもそれだけ。中身は空っぽ。

監督の青山真治ってカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞した「EUREKA(ユリイカ)」でも感じたのだが、なんだか思わせぶりな雰囲気はあるんだけれど、実は大したことを語っていないんだよね。観客を煙に巻いているだけで見かけ倒しの薄っぺらな人なんだと想う。原作とは異なるエンディングにしても「だから何なんだ?」という白けた感想しか残らない。

原作者の東野圭吾は大好きな作家なのだが、こと映画化に関しては不運な人だよね。「秘密」、「g@me」、WOWOWで映像化された「宿命」、そして本作といい、ろくな作品がない。作者自身が映画については実に投げやりな態度なのも災いしているのかも知れない。多分東野圭吾は自分自身しか信じていない作家なのだろう。「映画になっても俺の小説を超えられるはずないさ」という高笑いが聞こえてくるような気さえする。

直木賞候補になった「白夜行」や「手紙」なんか実に良い小説なので、上手く映画化すれば傑作になると想うんだけれどな。特にノワール「白夜行」については「害虫」「黄泉がえり」の塩田明彦監督に映画化して欲しい。竹内結子が雑誌「ダヴィンチ」における東野圭吾との対談で「白夜行」のヒロイン、雪穂を演じたいとアピールしているのだがこれは断固反対する。でもなぁ、広末涼子に文庫版「秘密」の解説を書かせた事実でも分かるとおり、東野はミーハーだから竹内結子でもO.K.するかも。あな恐ろしや。

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「パッチギ!」評価:B

井筒和幸監督って関西弁の映画を撮らせると生き生きした傑作に仕上げるなぁとつくづく感心した。関西弁が出てこない井筒映画は全く魅力がないのに。これはパワーに溢れた青春映画の瑞々しい快作である。

ただね、ちょっとだけ文句を言わせて貰うと在日朝鮮人を題材するに当たって朝鮮人=侵略戦争の犠牲者・絶対弱者であり日本人を非難する権利が当然ある人々、日本人=朝鮮人に対して極悪非道の限りを尽くした加害者であり、ただただ土下座して卑屈に謝罪し続ければならない存在という単純な図式、自虐史観というのはもう時代遅れなんじゃないかなぁ。真の友好とはお互いに対等な立場に立ち、相手の立場を尊重しあうことからしか生まれないのではないだろうか?

そういう意味ではしょせん井筒監督も心情左翼なんだよね。福井晴敏原作の映画「ローレライ」をキナ臭いと言っているそうだから、それが井筒の限界なのだろう。朝日新聞とは気が合うかも。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]