エンターテイメント日誌

2004年06月28日(月) スカーレット・ヨハンソン二題 <翻訳に真珠>

1984年11月にニューヨークで生まれた(クリック→)スカーレット・ヨハンソンは現在19歳。1960年代生まれを代表するハリウッド女優がニコール・キッドマンであるとするならば、1970年代にちょっとした空白期間があって、1980年代を代表する若手女優のホープといえば文句なしにヨハンソンであるというのが筆者の(些か乱暴な)見解である。確かな演技力ともって生まれたその美貌を武器に、まず間違いなくこれから十年以内に彼女はアカデミー主演女優賞を受賞するであろう。ちなみに彼女は既に「ロスト・イン・トランスレーション」で英国アカデミー賞の最優秀主演女優賞受賞している。そんなヨハンソンが主演した映画を二本、これから取り上げる。まず「真珠の耳飾りの少女」である。

「真珠の耳飾りの少女」の評価はA-。とにかくその映像美に酔いしれる映画である。まずアカデミー撮影賞にノミネートされたエドゥアルド・セラによる撮影が素晴らしい。まるでフェルメールの絵画の中に迷い込んだかのような光と陰が織りなす妙なるハーモニー。この完成度の高さは映像美の極致とされる「天国の日々」(撮影監督:ネストール・アルメンドロス)に匹敵するだろう。それに加えて、この映画における美術や衣装スタッフの卓越した仕事ぶりも相乗効果を上げている。画家フェルメールの一枚の絵を巡る物語。これはあくまでフィクションではあるが、歴史的事実がどうであろうといっこうに構わない、この映画で描かれたものこそがフェルメールがその絵に託した想い、心の真実に相違ないと信じられる、そういう素敵な、花も実もある絵空事であった。

さて、ヨハンソンという少女は確かに奇麗な娘なのだが、彼女の美しさは残念ながら現代的服装では真の魅力を発揮できないというきらいがあるように僕には想われる。それは「ロスト・イン・トランスレーション」とこの「真珠の耳飾りの少女」の彼女を比較すれば歴然としているだろう。彼女はむしろコスチューム・プレイでこそ映える女優なのだ。「真珠の耳飾りの少女」のヨハンソンは神々しいまでに光り輝いている。フェルメールの世界にとけ込み、最後に完璧に一体化する様はもう空恐ろしい位である。21世紀の映画は貴重な宝石を手に入れた。これは必見。

さて、お次は「ロスト・イン・トランスレーション」であるが、こちらは次回の日誌で語ろう。Coming soon...


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]