エンターテイメント日誌

2004年04月10日(土) 世界一早い再来年のオスカー予想!

タイトルが混乱を招く恐れがあるので、もっと具体的に明記しておいたほうが良いだろう。これから書く予想は2005年に北米で公開され、2006年に開催される第78回米アカデミー賞(「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」が受賞した今年は第76回)の受賞予想である。

第78回に作品賞の栄冠に輝くのは確信を持ってメル・ブルックスが製作総指揮したミュージカル映画「プロデューサーズ」であろうと今から断言しておく。「プロデューサーズ(THE PRODUCERS)」は1968年にメル・ブルックスが脚本・監督した映画として公開され、その年のアカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞した。2000年にアメリカ映画協会AFI(American Film Institute)が選定したコメディ映画の史上ベスト100でも、この映画は堂々11位にランクされている(ちなみに第1位は「お熱いのがお好き」)。しかし何故か日本では長らく未公開のままで、漸く2001年になって劇場公開された。この映画を舞台ミュージカル化するのをブルックスに勧めたのはドリームワークスSKGのデヴィット・ゲフィン(S=スピルバーグ、K=カッツェンバーグ、G=ゲフィン)である。ブルックスはその気になって舞台用に脚色したのに止まらず新しく加わった唄を自ら全曲作曲し、そのミュージカル版がブロードウェイで初日を迎えたのが2001年4月。そして記録手な大ヒットとなりトニー賞でも史上最多の12部門受賞という偉業を成し遂げ、当然現在も上演中である。僕はオリジナルの映画も大好きなのだが(特にあの、劇中劇「ヒトラーの春」の面白さときたら!)、幸いにもこの舞台ミュージカル版を2001年8月にブロードウェイで観る機会を得て、トニー賞で主演男優賞を受賞したネイサン・レインやマシュー・ブロデリックをはじめ、全てオリジナルキャストだったのでそれはもう大感激だった。兎に角、抱腹絶倒。愉しいミュージカルである。最後にはほろりとさせられ、なんだか元気をもらって劇場を後にする…そういう作品である。

そして遂に待望のミュージカル版の映画化が決定した。主演の二人、ブロードウェイのプロデューサー、マックス役=N・レインと会計士レオ・ブルーム役=M・ブロデリックの出演は当然として、トニー賞で助演男優賞を受賞した演出家役=ゲイリー・ビーチやそのアシスタント役=ロジャー・バート(「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」でトニー賞受賞)も舞台から引き続き同じ役で映画に出演することが決まった。ちなみにロジャー・バートはつい最近、M・ブロデリックが初演時に演じていたレオ役をブロードウェイで演じていたようだ。詳細な記事はこちらへ

そして驚いたのがマックスとレオが雇う、おつむが空っぽで英語が喋れない金髪のスエーデン人グラマー秘書、ウラ役がなんとニコール・キッドマンと発表されたことである!いや〜。実現したら凄いけれど、Playbill.comに載っている記事(←クリック)だからかなり信憑性が高い。キッドマンも「めぐりあう時間たち」で念願のオスカーを受賞したので吹っ切れたのだろうか。頼もしい限りである。

ミュージカル映画版の監督は舞台で振り付け・演出を担当(いずれの部門でもトニー賞受賞)したスーザン・ストローマン。映画監督は初挑戦だが作品が作品だけに僕はオスカーで監督賞を獲得する可能性は極めて高いと考える。彼女が受賞すればアカデミー史上初の女性監督受賞となるだろう。メル・ブルックスも映画用に新曲書いて、当然歌曲賞を受賞するだろう。ネイサン・レインが主演男優賞を受賞するのも確実。問題はマシュー・ブロデリックだが、「シカゴ」でミラマックスがゼタ=ジョーンズを助演女優賞に振り分けるのに成功したように、映画会社がアカデミー事務局にブロデリックを助演のカテゴリーに入れるように上手に働きかければレインと仲良くダブル受賞も夢ではない。今から非常に愉しみである。

映画は現在のところ2005年2月に撮影が開始され同年のクリスマスシーズンに公開予定という。クリスマス公開ということは当然オスカーを狙っていることを意味する(「ビューティフル・マインド」「シカゴ」「王の帰還」と、ここ数年アカデミー作品賞を受賞する映画は全て12月公開と相場が決まっている)。今年のクリスマスは「オペラ座の怪人」だし、「ムーラン・ルージュ」に始まり、「シカゴ」で盛り上がったミュージカル映画の復権は今後2年間でそのクライマックスを迎えることは間違いないだろう。

「プロデューサーズ」に興味のある人はまず1968年版の映画を観よう。物語の基本的な部分は舞台版も同じである。DVDが発売されているが残念ながら現在メーカー在庫切れの模様。しかしつい先日もBSで放送されたし、近いうちにまたいくらでも機会はあるだろう。それから是非ブロードウェイ・オリジナル・キャストCDを聴いて欲しい。歌詞の日本語対訳も付いているから理解の助けになると想われる。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]