エンターテイメント日誌

2003年12月08日(月) 日本一早いオスカー予想!

2004年に開催される第76回米アカデミー賞を早々と大胆予想してお目にかけようか。

まず来年のアカデミー賞で作品賞と監督賞の最有力候補は「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(以下LOTRと略す)であることは揺るぎのない事実である。LOTRは第一作目と二作目も高い評価を受けてアカデミー賞にも大量にノミネートされた。しかし、未だ作品賞と監督賞は受賞していない。今までは投票するアカデミー会員の意識としても、シリーズ半ばで正当に評価するのが難しいと躊躇い、保留にする場合が多かったのではないだろうか?しかし「王の帰還」でついにこの映画史に残るエポック・メーキングな作品は幕を閉じる。そこでアカデミー会員の中で三作トータルでの評価を今回しようとする動きが出てきても当然なのではなかろうか?LOTRにはそのシリーズものとしての強みがある。

僕はその対抗馬として強力に押したいのがティム・バートン監督の「ビッグ・フィッシュ」(←クリックすれば公式サイトに飛べる)である。その予告編を観て驚いた。
「来たーっ!!オスカーに向かって直球ど真ん中だぁ。」と想わず叫びたい心境。ほら吹きの父親と息子との心の交流を描いた作品のようだが、その表現方法がいかにもティム・バートンらしくてファンタスティック!素晴らしい。なんだか雰囲気が「フォレスト・ガンプ」を彷彿とさせて関係者の意気込みがひしひしと伝わってくるのだ。スタジオのソニー・ピクチャーズもこの映画に相当な自信と期待を持っているようだ。実はこの映画は元々封切りが11月26日の予定であった。しかしそれが急遽延期され、ニューヨークとロサンゼルスのみの限定公開という形で12月18日に封切られ、年明けに全米公開される形に変更となった。つまりオスカー狙いの典型的な戦術をとったのである。個人的にはこの「ビッグ・フィッシュ」が一番の期待である。また、僕の大好きな作曲家ダニー・エルフマンがこれで悲願の初オスカー受賞となるかにも、大いに注目したい。

作品賞・監督賞の他の有力候補はクリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」と(「イングリッシュ・ペイシェント」「リプリー」の)アンソニー・ミンゲラ監督の最新作「コールド・マウンテン」などである。

話題の「ラスト・サムライ」については役者陣が期待できそうだ。トム・クルーズの主演男優賞、渡辺謙の助演男優賞へのノミネートは堅いだろう。トムの受賞はあり得ないが渡辺謙は有力候補として急浮上しており、可能性が十分ある。僕も既にこの映画を観たが、本当に彼の演技は素晴らしかった。これぞ「武士道」。日本の誇りである。

助演女優賞についてはこんどこそ「コールド・マウンテン」のレニー・ゼルウィガーが獲らなければいけないだろう。彼女は「ブリジット・ジョーンズの日記」「シカゴ」で二年連続アカデミー主演女優賞にノミネートされ、どちらも涙を呑んでいる。余りにも可哀想だ。故に今回同情票が集まる可能性が極めて高い。レニーくらいの実力と華のある女優さんにはそろそろオスカーもあげていい時期だろう。しかし、個人的にはやはりコメディーではオスカーの受賞は難しく、シリアスものなら比較的獲りやすいという、いつもの<オスカーの法則>に則った結果に落ち着くとしたら、なんだか厭だなぁという想いは確かにあるのだが。最近ヒュー・グラントが「コメディ映画での演技に対する評価が不当に低い」と憤っているという記事を読んだが、ごもっともである。

さて、ワーナー・ブラザースは「マトリックス」でオスカーを(票割れをせず)確実に取るために今回のエントリーを「レボリューションズ」に一本化するらしいのだがこれは明らかな戦略ミスではなかろうか。僕は視覚効果のおもしろさという点では凡庸な「レボリューションズ」よりも創意工夫のある「リローデッド」の方が格上だと想うのだがどうだろう?これで視覚効果賞については「マトリックス」受賞の可能性はなくなったという気がする。「王の帰還」でLOTRがおそらく三部作連続受賞を果たすであろう。「レボリューションズ」の映画としての出来が余りにも酷すぎるので、音響賞や音響効果賞の受賞も危ういのではなかろうか?どちらも対抗馬に「王の帰還」という強力な作品があるし。もしかしたら「マトリックス」全滅の可能性さえ出てきたと感じている。

長編アニメーション部門はピクサーの「ファインディング・ニモ」以外の受賞はあり得ない。全く死角なし。先日ノミネート資格を持つ11作品が公表されたがジャパニメーションでは今敏監督が「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」の2作品、さらに「劇場版ポケットモンスター/水の都の護神 ラティアスとラティオス」が入っている。「千年女優」と「東京ゴッドファーザーズ」はどちらも既に鑑賞済みだが、評判倒れのこれら作品批判については近いうちに必ず書くつもりだ。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]