エンターテイメント日誌

2003年02月22日(土) <中>と<指輪物語>

麻雀牌の「中」、すなわち「レッド・ドラゴン」は良く出来たミステリイ映画だった。なんといってもその勝因は「羊たちの沈黙」でアカデミー脚色賞を授賞したテッド・タリーがふたたびトマス・ハリス原作小説に挑んだことが大きいだろう。では今回の監督ブレット・ラトナーはどうだったかというと、無難にそつなくこなしたという印象。だから強烈な作家の個性を感じる作品ではないので、そこが不満といえば不満であるが、エンターテイメントとしては及第点だろう。ダニー・エルフマンの音楽が印象的だった。

ロード・オブ・ザ・リングの第一部「旅の仲間」は雄大な自然を捉えた撮影は美しく特撮は凄いけれど、登場人物の紹介と舞台背景の説明に終始したため、正直退屈で上映時間の3時間が苦痛であった。これがDVD4枚組のスペシャル・エクステンディッド・エディションになると、さらに30分の未公開映像が追加され、「もう勘弁して!」という感じだったが、それでも第二部の予習のつもりで頑張って観た(笑)。しかし開いた口が塞がらなかったのがこのDVD版はエンド・クレジットが延々27分も続くのである!なんと「指輪物語」公式ファンクラブのメンバー全員の名前がクレジットされているのだ。それにしてもその中で一体何人の人が実際に映画に貢献したのだろうか!?

で第二部「二つの塔」を観た。「旅の仲間」を5段階評価するとしたらまあ僕はせいぜい2つ星半までだな。それに対して「二つの塔」は文句なしに5つ星だ。正直こういう掛け値なしの傑作についてコメントを書くのは気が進まない。だって誰が書いても似たような称賛の言葉を並べるしかないのだから。

まず「二つの塔」の成功の最大の要因は旅の仲間達が三手に分かれたことにあるだろう。それによって前作では平板だった物語に起伏が生まれ、変化に富み飽きさせない。第一作の何が鬱陶しかったかというと、それはあの役に立たないくせに煩いホビットどもに尽きる。その魅力のない主人公のフロドとサムのチームに今回フルCGキャラクターのゴラムが加わって引き締まった。この2重人格のキャラクターが秀逸。CGの描写力もここまでくれば人間をリアルに描ける時代もそう遠くはなさそうだ。ただし、そうなるとクローン人間同様「モラル」という厄介な問題が絡んできてややこしいことになりそうだが。実は全米放送映画批評家協会賞というのがあって、今年から最優秀デジタル演技賞というのが新設された。ノミネートされたのは「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のドビー、「SWエピソード2」のヨーダ、そしてこのゴラムで、結局ゴラムに栄冠が輝いた。僕個人としてはヨーダを応援していたのだが、まあゴラムの出来を見てしまうと仕方ないか。

そして「二つの塔」の一番の見せ場は、なんといってもアラゴルン、レゴラス、ギムリのチームが一手に引き受ける壮絶な戦闘シーンである。CGやミニチュアセットを存分に駆使した特撮の絶大な効果も相まってもう息もつかせぬ怒濤の展開に圧倒された。こんなにスケールの大きなモブ(群衆)・シーンはいまだかつて観たことがない!ド迫力である。どうも映画のファンサイトでの一番人気はアラゴルンらしいが、今回弓の魔術師レゴラスが、見せ場も多く恰好良いので株を大いにあげることだろう。お笑い担当のギムリもひょうきんで◎。

そうそう、先日テレビで「二つの塔」がDVDで発売される時にはスペシャル・エクステンディッド・エディションが4時間半になるかもという噂を耳にした。ピーター・ジャクソン、正気かよ!?

・・・とありきたりの映画評はこれくらいにして、この次は感動作と大評判の「戦場のピアニスト」を俎上に挙げて、徹底的に馬鹿にして叩きのめす予定。まあ、あの映画の悪口を書くのは僕ぐらいなのでは?乞うご期待。期待して下さる人は是非投票の方もヨロシク。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]