エンターテイメント日誌

2001年10月23日(火) コリアン・ジャパニーズの青春

映画「GO」を観た。同時期に同じ日本映画で「GO!」という映画も公開される。ややっこしい。おまけにどちらも山崎勉が出演しているのでますます混乱してしまう(笑)。迷惑だからやめてほしいな(^^;。

「GO」は日本生まれで北朝鮮国籍(後に韓国籍に変わる)の高校生の青春映画。原作は直木賞を受賞している。原作者も主人公と同様の境遇だったようだ。一方、「GO!」は高校生が憧れの女性のためにピザを東京から長崎まで配達するという破天荒なロード・ムービー。僕は一時期この両者を混同していた。在日朝鮮人の高校生がピザを配達する映画か、と(^^;。

「GO」でコリアン・ジャパニーズの主人公を演じる窪塚洋介がいい。何よりそのハングリーな面構えが。「在日」といういわれのない偏見に反抗し、常に外に向かって身構えるような態度をとりながらも、その実内面は優しく、傷つきやすい心を隠し持っているという難しい役どころを好演している。またその父親役を演じる山崎勉が魅力的でイカしている。何とも格好いいオヤジなのだ。元ボクサーで有無を言わさず息子に暴力をふるう破天荒なキャラクターながら、一方で親としての情が厚い。こういった登場人物たちの多面性がこの映画を豊かにしている。主人公の友人もいい奴だなあ。その熱い友情に惚れ惚れした。「バトル・ロワイヤル」ではどう転んでも中学生には見えず浮いていた山本太郎も今回は主人公の先輩としていい味出している。大竹しのぶや大杉漣など脇役がまた充実していることも特筆すべきだろう。

「在日」とか「民族」といった難しいテーマを織り込みながらも、決して深刻ぶることなく映画の中を全力疾走で駆け抜けていく主人公にいつのまにか共感し、エールを送りたくなる。演出のテンポも小気味良く、生きのいい弾けた映画に仕上がった。これは爽快な青春映画の大傑作である。停滞する日本映画に新風が巻き起こった。「ダッセー」映画よ、さようなら。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]