エンターテイメント日誌

2001年05月20日(日) 幻の名作<プロデューサーズ>は21世紀に花開く

メル・ブルックス監督の長らく日本未公開だった映画「プロデューサーズ」(1968)が今年遂に公開された。この映画、以前ビデオやレーザーディスクが日本でも出ていた様なのだが、僕は残念ながら今まで観るチャンスに恵まれなかった。そして今回「プロデューサーズ」がBS-iで放送されたのを機会に、とうとう観ることが叶った。

メル・ブルックス監督第1作で、映画公開翌年にアカデミー脚本賞を受賞、2000年AFI(全米映画協会)が発表したコメディ映画史上ベスト100の11位にこの映画は選ばれている。
主演は有閑マダムから制作資金を集めるだけ集めて、わざと出来の酷い作品を上演して直ぐにクローズし、大金を猫ばばしようと計画するブロードウェイのプロデューサーにゼロ・モステル、彼に協力する会計士にジーン・ワイルダーが扮している。
兎に角、劇中ミュージカル『ヒトラーの春』(作詞・作曲ブルックス)がもう最高!!
♪Springtime for Hitler and Germany...♪という旋律が頭にこびり付いて離れないこと、請け合いである。
映画「四十二番街」の群舞を俯瞰ショットで捉えた幾何学模様などで有名なバズビー・バークレイ振り付けのパロディあり、エリノア・パウエル主演「踊るアメリカ艦隊」(1936)ばりの大砲まで登場し、これはもう抱腹絶倒の面白さであった。惜しむらくはこの劇中劇が短いこと。もっともっと見続けていたかった・・・
ただ、このヒトラーを笑い飛ばした前代未聞のミュージカル、迫害を受けたユダヤ民族であるメル・ブルックスだからこそ許される、きわどいギャグだということも同時に感じた。もしこれをアングロサクソンが作っていたら
「ユダヤ人を大量虐殺したヒトラーを笑いのネタにするなんてけしからん。」
と非難されたのではないだろうか?

さてこの映画、今年ブロードウェイで舞台化された。
メル・ブルックスが脚本、作詞、作曲も手掛け、「クレイジー フォー・ユー」「コンタクト」「ザ・ミュージック・マン」で有名なスーザン・ストローマンが演出、振付。出演はマシュー・ブロデリックとネイサン・レイン。トニー賞史上最多の15部門にノミネートされ、作品賞、演出賞、そしてネイサン・レインの主演男優賞受賞は確実な状況といわれている。
このミュージカルをどうしても観たくて僕は遂に初めての渡米を決意した(笑)。
チケット手配を専門業者に委託したところ、凄い人気でなんと8月一杯まで3階席しか残席がないとのことである。プレミアだと既に1枚$600(約7万円)以上で、6月に発表されるトニー賞の結果次第では更に跳ね上がるだろうとのことだ。
今年の夏、ブロードウェイに往くことを計画されている方は、迅速に行動されることをお勧めする。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]