2001年04月21日(土) |
<地獄の黙示録>特別編とコッポラの誤算 |
今年のカンヌ映画祭でオリジナルより53分も長い「地獄の黙示録」(1979)特別編が上映され、順次世界で公開されるそうである。53分とコッポラの「誤算」。語呂が良いではないか(笑)。
「ゴッド・ファーザー」(PART1、2でいずれもアカデミー賞受賞)と「地獄の黙示録」(カンヌ映画祭グランプリ)で世界の頂点に立ったコッポラは、しかしその後、階段を転げ落ちるように低迷、迷走してゆく。全てスタジオで撮影する、夢のようなミュージカルを目指した意欲作「ワン・フロム・ザ・ハート」(1982)を僕は愛すべき小品だと想うのだが、興行的に惨敗。破格の制作費は勿論回収できるわけもなく、コッポラが新しく設立したゾーエトロープ・スタジオはあっけなく倒産する(コッポラは生涯3度破産しているそうである)。
その後の若者受けを狙った「アウトサイダー」は凡作。「コットン・クラブ」「ペギー・スーの結婚」「友よ、風に抱かれて」「ジャック」「レイン・メーカー」等、もう見る影もない無惨さであった。起死回生を賭けた「ゴッド・ファーザーPART3」は前2作の足元にも及ばない駄作で、こんな3作目ならかえってこの世に存在しない方が作品にとって幸せだったろうと想う。この時期の敢えて秀作と呼べるのは「ドラキュラ」(1992)くらいか。しかしこれにしたところで往年の才気と比較すべくもない。
そんなコッポラが久々(20年ぶり)に脚光を浴びたのが過去の作品の焼き直しだというのが情けない。ご冥福をお祈りする。合掌(あ、別にコッポラ監督は亡くなったわけではありませんよ。念のため(^^;)。
追伸:コッポラはカリフォルニア(ナパバレー)にワイナリーを経営していて、そこの生産する「フランシス・コッポラ ロッソ」「ニーボム・コッポラ クラレット」はなかなか美味しい。筆者愛飲のワインである(^^;。
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