スピルバーグの新作映画「A.I.」のスチール写真が先日公開された。 ハーレイ・ジョエル・オスメント君の後ろに何やら意味深にロボット 2体が写っている写真だ。
「A.I.」ーその題名自体が「E.T.」を連想させるのは偶然ではあるまい。 主人公が少年であるというところも両者の共通項である。 久々にスピルバーグがSFファンタジーの世界に帰ってきたと考えて、 ほぼ間違いなかろう。大変嬉しいことである。
スピルバーグはどうしてもオスカーが欲しかった。だから 黒人問題を扱った「カラー・パープル」や「アミスタッド」を撮り、 ノルマンディー上陸作戦を描く「プライベート・ライアン」や ナチスのユダヤ人虐殺を扱った「シンドラーのリスト」を撮った。 映画評論家の故・淀川長治氏はそんな彼を「物欲しげ」とズバリ 論評された。見事この表現が言い当てているのではなかろうか?
「カラー・パープル」ではスピルバーグ・バッシングが吹き荒れ ひとつの賞も受賞できなかったが、その反動で同情票も相乗効果 となり、「シンドラーのリスト」はオスカーを大量受賞した。 さらに「プライベート・ライアン」はスピルバーグに2度目の監督賞 をもたらした。 しかし、これらの「社会派」作品を観ながら、僕は何処か彼は無理を しているという印象が拭えず、何だか窮屈な後味が残った。 もうそろそろ良いだろう。スピルバーグ自身も、そう感じたのでは なかろうか?そして彼は最も得意とする古巣へ帰ってきた。 「おかえりなさい。」と、そう僕は密やかに映画館で呟いてみようと想う。
「A.I.」の後、スピルバーグはトム・クルーズと組んでSF大作 「マイノリティー・レポート」を撮る予定だそうだ。 先日もキャメロン・クロウ監督の新作に出演中のトムと打ち合わせのために 撮影現場に出向き、ついでにその作品にカメオ出演までしたとか。 スピルバーグ、いよいよスロット全開である。
追伸:我が偏愛する作曲家、ジョン・ウイリアムズが「A.I.」でどんな 新たな音楽の地平を切り開いてくれるのか、それも非常に愉しみである。 今年の年末は「ハリー・ポッター」も控えているし、来年のオスカーは 確実だね、ジョン!
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