東京の片隅から
目次きのうあした


2018年09月22日(土) 藤田嗣治展

藤田嗣治展を見てきた。

藤田と言えば「乳白色の裸婦」で有名らしいが、私の場合、思い出すのは竹橋(東京近代美術館)にある「争闘」というネコが闘っている絵(苦笑)。 すごい顔をしている。

長寿な人だったので、作品点数も多かったけど、とにかく画風の変遷がすごい。
印象派というか黒田清輝風味から始まってキュビズム、モジリアニ(実際に交友関係があった)風、乳白色の時代、南米旅行中のゴーギャンみたいな極彩色、それらが合わさった晩年と次々変わっていく。
ピカソと聞いて想像する絵がみんな違うように、藤田も画風が次々と変わっていて、でも繊細な墨の艶のある細線など、藤田らしさは通底にある。

時代を追って見たときに一番気に入ったのは南米時代のインディオの絵だった。
裸婦は上手いんだけど、色味と表情が乏しい分インパクトが薄いんだよね・・・。そこへ色彩とモデルのインパクトが加わると、あ、デッサンからすごい上手いというのがわかる。プロのモデルじゃないからこその迫力、すまし顔じゃなくてこちらを睨むようないぶかしむような、画家とモデルとの間に信頼関係がない感じが、 逆にいい。

「乳白色の裸婦」は、確かにキャンバスの地を胡粉で白く塗った後墨で輪郭を書いて薄く陰影をつける、あれは独特なものではあるのだけど、他の誰かを思い出す。しばらく考えて出てきたのは、クラナハ。人物の表情が乏しい感じがそう思わせたのかもしれない。

あと蛇足。
次男とは言え医者(しかも軍医)の家から画家の道に進むことを許した父親の懐が深いなぁと・・・。陸軍軍医総監まで行く人物はそのくらいの度量があるのかしら・・・と思った。姉妹の嫁ぎ先からも学者や劇作家系が出ているので、実は父上はそういう人なのかもしれないけど。


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