東京の片隅から
目次|きのう|あした
川上弘美「七夜物語」を読了。 上中下巻の3巻構成。単行本のときは上下巻だったらしいので、1冊当たりの価格が上がらないようにするための方針か。持ち歩くのに軽いのはいいのだが、半端なところで巻が分かれたりしているような気もする。1日の通勤往復で余裕を持って読み終えるくらいの分量。自分自身本を読むスピードが人より早い自覚はあるが、ようするにちょっと物足りない(笑)。 普段の川上作品よりももうちょっと広い読者層、とくに主人公少年少女たちでも読めるように意図したのか、「真鶴」などに比べると文章も読みやすい、気がする。
読んだ最初の感想としては「はてしない物語」川上版なのかな、ということ。少年(+少女)が本を媒介に異界に迷い込み冒険をし成長するという枠組みは同じ。 ただ、日常生活や周囲の大人の描写が多いこと、異界の旅が何回もあることで、より「揺らぎ」が描かれているように思う。 エンデの硬質な鉱石のような手触り、錐のように鋭く深く潜っていく印象(これは翻訳者のなせるものかもしれないが)と異なり、柔らかな、グミかピーチスキンのクッションかという手触り、木の葉が波間に浮いたり沈んだりしながら漂うような、そんな印象。
|