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2003年03月26日(水)
◆Adventures in Motion Pictures 『白鳥の湖』 (ソワレ)〔3度目〕 首藤康之、ベン・ライト、他


ザ・スワン&ストレンジャー: 首藤康之、
王子: ベン・ライト、
女王: ヘザー・レジス・ダンカン
執事: スティーヴ・カーカム
ガールフレンド: フィオナ=マリー・チヴァース



昨日に引き続き3回目の観劇。
このところ連続で観劇が続き少々疲れ気味でしたので、誰かにチケットを譲ろうと思っていましたが、今回の公演は見に行ってよかったと思います。これで、「白鳥役」3人3様の舞台を味わうことができました。
今回も30列目でステージから遠かったですが、この前の教訓を得て、準備万端オペラグラスを用意していきましたので欲求不満が解消できました。(笑)


気になっていた首藤=白鳥は、感動的すら感じるものでした。逆にストレンジャー役は正直、無理があるなぁとも…。

首藤君の白鳥は、純粋で悲しく、繊細ではかなげな印象。登場シーンもとても静かで、昔ながらの版の「白鳥〜」の姫君のように人間から白鳥の姿に変えられ、身の不幸悲しみながら王子の前に現れ、そして辛い過去を持っている...。と、その様な印象。とにかく身体から立ちのぼる雰囲気が非常に繊細ではかなげなのです。
獰猛な白鳥の群れの中でも、アダム・クーパーはクールで激しい獣のボス的存在感で、自分から他の白鳥とは違っていると主張しているように見えましたが、首藤君の白鳥は、この群れの中で受け入れられていないような、ひとりぼっちの孤独感…という様に見えました。
踊り方もひときわ丁寧で、指先、脚の先端に至るまで、滑らかで美しく、神経が行き渡っています。

王子とのパ・ド・ドゥは、辛い身の上どうしが慰めあい、心を触れあわせ、対等な立場の“愛”をとても感じました。まるで恋愛のような…。
首藤=白鳥は、他の誰でも真似できないような透明な世界を描き出し、この場面が他の人の演じた時とまるで違ったものに見えてしまう不思議な空気を持っています。
こんなにも演じる人によって違った印象になるなんて!! 
とにかく、心が痛くなる白鳥。

そしてストレンジャー役ですが、周りの強烈な個性を持った姫君達を、誘惑し征服していくのは、無理だったかなぁ。
体格から見ても女達は肉感的でしかも強そうで、一緒に踊ると逆に振り回され、パートナーを変えるときなど捨てられた様に見えてしまう。
頑張っているのですが、シャイさや奥ゆかしさが見え隠れして、この場の全員を意のままにすることは、出来ていませんでした。あざとさや欲望のない何か潔癖な感じなんですね。
この挑発的な場面はアダム仕様な作りですし難しいですね…。
ソロの踊りについては断然素晴らしかったと思いますけど…。

終幕の悲劇的な場面の白鳥は、他の人よりも悲しみが伝わってきて、良かったと思います。痛々しくて感動的。

このように個性的なそれぞれのAMP「白鳥」を見ることができて、大変幸せでした。