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2003年02月02日(日)
◆レニングラード国立バレエ『海賊』 シェスタコワ、/プハチョフ、/ルジマートフ」


メドーラ: オクサーナ・シェスタコワ、
コンラッド: アルチョム・プハチョフ、
アリ: ファルフ・ルジマートフ、
ギュリナーラ: アンナ・フォーキナ、
アフメット(ランケデム): ダニール・サリンバエフ、
ビルバンド: アンドレイ・クリギン、


先週に引き続き、渋谷のBunkamuraオーチャードホールに向かいました。午後2時開演ですが、余裕が無くぎりぎりで到着。いわゆるクラシックバレエは久々になります。
この前の『竹取〜』は異質な作品でしたので…。

Bunkamura館内はとてもおしゃれな雰囲気で、いたる所に今度行われる企画公演 AMP『白鳥の湖』の美しい写真パネル展示がされていました。
館内に入ると 草刈民代さんが立っていらしたのが目に入りました。この日は観劇のようですが、別の日にこのバレエ団の『海賊』も踊る予定になっているようです。このところ毎回ゲスト参加していますね。


さて肝心の『海賊』ですが、会場は見るからにルジマートフ ファンだと思われる観客が多く見受けられ、熱気をすごく感じます。ただ、過去にガラでも頻繁に踊られる、ルジマートフ氏の当たり役 “アリ”は全幕とおして見ると、非常に出番が少なく、(特にこのグーセフ・ボヤルチコフ版はかなり少ない)ファンの方には気の毒に感じました。


 まず、プロローグの遭難場面では嵐に遭う船に海賊たちが乗っていて、海に投げ出されたり、落ちそうになったりと、一連のスペクタクルな展開を大体は見せてくれるのですが、このバレエ団の版ではそれが無く、ミニチュアの船か揺れているだけ…。
ちょっとショボイと思ってしまいました。しかしダンサー達が踊りだしたら、そのフォームやかもし出す雰囲気の美しいこと! ワガノワメソッドは私の好み!


海賊コンラッド役の プハチョフは、背が高く体格も申し分がなくて、大変舞台栄えしていました。バレエ団期待の若手とのことで、今後さらに活躍されるでしょう。

ギリシャ娘、メドーラ役の シェスタコワは、ガラなどでよく拝見していましたが、親しみやすさが滲み出て、誰からも好感が持たれるタイプのダンサーだと思います。踊りもキレがあり、テクニックにしても全く危なげありません。この日はとても輝いていました。

奴隷商人アフメット役(通常、ランケデム)の サリンバエフはかなりのテクニシャンで、1幕の奴隷市場でのギュリナーラとのパドドゥでは拍手喝采を浴びていました。
ただ背があまり高くないのでロシアだと役が固定されてしまうかもと、変な心配をしてしまいます。活躍してほしいですね。

ギュリナーラ役は特に印象に残らず…。

セイード・パシャ役(A・マラーホフ)はこの版ではトルコ総督ということになっていて、他の版で多く見られるコミカルな役周りではなく威厳を保っていました。(男前に見えた!)


さてアリ役のルジマートフ ですが、1幕ではほとんど現われず、出てきたとしても脇に立っているだけ。終始、役柄の為、控えめにしていました。

そして2幕の有名な洞窟でのパ・ド・トロワ
ここでアメリカ系のバレエ団だったら、出番だ、目立っとけ、とばかりにテクニック見せ見せで頑張ってしまいがち(決めつけすぎ?でも否定ではないですよ。盛り上がるし…)ですが、ルジマートフの場合は終始、コンラッドの手下という立場をわきまえ、気張りすぎることも無く、抑制された役どころを体現していました。

ただ、昔に比べると、アクが無くなったというか、 悟りを啓いちゃった人というか、わさわさした演目の中で、別世界にいらっしゃっていたような…。見ていると何かちょっと痛い気持ちになるんですよね。痩せた身体にしろ、踊りにしろ…。 骨身削って舞台に出ているような気がして


 この版の『海賊』に話を戻しますと、ほぼ有名なキーロフバレエ版と大差はありません。
ただ3幕がちょっと違っていて、セイード・パシャの宮殿ではなく、パシャの大きな船の上で「生ける花園」の場面が行われます。
ボリショイやABTみたいに極彩色ではなく薄いピンクと薄い紫の柔らかな色彩でとてもきれいでした。
人数はあまり多くありませんでしたが…。
最後も海賊達の戦いの群舞があり、その船を奪い元気良く出航―で終わります。
ABTみたいに死者続出ではありません。(あれはやりすぎ!)よかったーと胸をなでおろしました。


 最後に シェスタコワは本当に良かったです。どんどん良くなる感じ。
マールイ劇場バレエ団(レニングラード国立バレエ)の皆様、毎回長期のツアーを全国津々浦々までご苦労様です。

ルジマートフのファンの皆さんは、 最後のカーテンコールの彼のチャーミングな笑顔に救われますよね。
いい気分で劇場を後にされたと思います。