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2003年01月25日(土)
◆レニングラード国立バレエ『竹取物語』 草刈民代/シヴァコフ、他


 久々のバレエ観劇の為、渋谷Bunkamuraに向かいました。年末から何故かココに通うことが多い気がします。
途中、ホール近くのハンバーガー屋さんに入っていく、イリーナ・ペレンさん達に遭遇。彼女は翌日出演ですので、この日はレッスンか鑑賞のみのようです。
この日の演目は『竹取物語〜月から来た姫〜』。芸術監督のボヤルチコフ氏が日本の古くから伝わる物語を創作したバレエでこの日が日本初演の作品でした。

 最初に申しておきたいのは、ダンサーの方達は最善を尽くし、最後まで踊りきったことは拍手を送りたいと思います。(以下、ちょっと辛辣になってしまいそうで…)

 さて、ストーリーは誰でも知っている内容のつもりで見ていましたが、だいぶ変えて作られていて、ストーリーを読まないと何を意図しているのか(?)な感じでした。
竹の精(ハビブリナ)が各場面で多く登場したり、5人の求婚者に対して、5人の天上の楽士たちが“鐘”を持ってきて「この鐘の秘密を解け」という場面も説明を読まなくては解りづらい感じでした。
でも、別れの場面のパ・ド・ドゥはとても美しいと感じました。
まぁ、ストーリーを考えなくても浸れたり楽しめたり出来れば問題ないのですが、ちょっと全体的に私には辛かったです。

 振り付けは、日本舞踊の動きを取り入れていたり(手は4本の指つけた形を常に維持)、ちょっと拳法風の型のような動きがあったりと、工夫は見られましたが、1幕など始終にそのマッタリした動きが続くと、途中に解き放つような部分があればいいのにと考えてしまいます。歌舞伎などに登場する、黒子を多数使う手法とか、日本風にしようとするアイデアが無理やり感じてしまうのは私だけでしょうか。違和感を拭い去れません。

 踊り以外にも気になる部分が…。まず美術がかなり変。ちょうどまさに昔の外国人が日本をイメージして作ったようなものとでも言いましょうか。
かぐや姫の家は薄っぺらな家の形をしたものに“農家”と大きな漢字で書かれたもので、変すぎてびっくり。
天井の方にも大きな字で“家”、“宮殿”と書いた幕が…。古典芸能に使われる「見立て」をイメージして作ったのでしょうか?

 衣装も統一感が無くバラバラで主役級の人たちは、まぁ納得出来ましたが、コール・ドの「竹」役男性ダンサーの頭とか、「月の光」役の女性ダンサーは“ジュディオング”みたいなピラピラしたものだったり、スパンコールの鎧兜が出てきたり、もう、平安時代、鎌倉時代、江戸時代、スペーシー風と何でもありという感じで、気になってしょうがありません。
常に「外国から見た日本なんだ」と思い続けないと…

 S・カロシュ作曲の音楽は良かったと思います。
純粋なクラシカルな音楽ではなく、シンセサイザー(たぶん)と、管弦楽、そして随所にソプラノ歌手のなまの声を生かし、幻想的な世界を作り上げていました。
歌手のナタリア・ミロノワさんの声は大変素晴らしかったです。

 ボヤルチコフ氏もかなり苦労してこの作品を作り上げたと思いますが、和物をバレエにするのは、どのあたりまで和風にするのか、美術、衣装、手法等、その加減の難しさを感じました。

皆様、本当にお疲れ様です。