ヒトリゴト partIII
 Moritty



選択

2006年10月23日(月)



人間は毎日数え切れないほどたくさんの選択をしていると思う。無意識の選択を含めたら100以上あるのではないだろうか。例えば、通勤途中に駅の階段を上るかエスカレータを使うかについて(最近運動不足だから階段を使おう)。例えば、朝食をツナサンドか玉子サンドにするかについて(コレステロールが高めだからツナサンドにしよう)。例えば、会社のトイレの三番目の個室に入るか四番目の個室にはいるかについて(二番目に誰か入っているから四番目にしよう)。今思い出そうとするだけでも10個くらいは見つかるのだから、無意識に選択していることを含めたら100個はいくだろう。では、その無意識の選択とはどういう過程でどのように行われているのだろう。

などとくだらないことを考えていたら、テレビでとても興味深い番組をやっていた。
 
「私たちの一生で、もっとも脳の潜在能力が高いのは、いつの頃か?」―――この問いに最新科学が明らかにした答えは驚くべきものだ。じつは生後8か月頃から1歳前後だというのだ。脳のなかで神経細胞同士の情報伝達を担うシナプスはその時期ピークに達したのち、早くも減少に転じてしまうのである。
NHKスペシャル 「赤ちゃん 成長の不思議な道のり」より)

番組によると、赤ちゃんはあらゆる環境に適応できる能力を持って生まれてくる。生後間もない赤ちゃんは猿の顔を見分けられたり、世界中の言語の微妙な発音の違いを聞き分けられる。それが、9ヶ月を過ぎた頃から見分け・聞き分けができなくなってしまう。人間は、あらゆる環境に適応出来る能力を持ちながら、生まれた環境によって要らない部分は切り捨て、本当に必要な能力を選び取り自らの将来を勝ち取る。

特に印象的だったのが、赤ちゃんが対面で人と接する事によって、シナプスをより効率的に整理することができるということ。はいはいが出来ない赤ちゃんが、はいはいやつかまり立ちができる赤ちゃんと遊んだすぐ後に、はいはいができるようになっていた。一方で、「画面を通じての人との接触」は赤ちゃんの成長に全く影響を与えない事が証明されていた。

人間関係なんて億劫なだけ、なんて思うこともあるけれど、わたしたち人間は人との接触によって育てられ、育っていくのだ。無意識の選択は自分の将来のために必要な選択であるはず。人間にはまだまだ秘められた能力がたくさんありそうで面白い。

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