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■■ 雲
2004年08月09日(月)

今日の空を見ていて、きのこ雲みたいだと思った。今日は長崎に原爆が落とされてから59年目の日だ。
生まれながらにして聴覚障害を持つ山崎栄子さんは、長崎での被爆体験を体いっぱいの手話で、声なき声で語る*。そのとき、山崎さんは被爆地から6キロの疎開地にいた。「突然目の前が明るくなり、オレンジ色の光を放って広がるものが見え、直後に物凄い勢いで床にたたきつけられました。耳の聞こえない私には、恐怖よりも驚きのほうが大きかったです。それから、数時間して、病気で寝ている姉のいる長崎市内の家に向かうため、被爆地方面に向かいました。両親と三人で歩いているとその道すがら、顔や首の皮がはがれ、足をガクガク震わせながらたたずんでいる人がいて、水が飲みたかったのでしょうが、焼け爛れた腕は伸ばすことができません。何かしてあげたいけれど、体が動かない。体が大きくふくらんで、内臓が飛び出ている死体を、まるで現実ではないような気持ちでまたいで進みました。音が聞こえない私には、うめき声や、イタイイタイといっている人の声は聞くことができません。私には、何が起こったのか分かりませんでした。そして、さらに市内に近づいていくと、突然建物も全てない綺麗な赤い平地にでました。全ては爆風で吹き飛ばされていたのです。」 「その時は大量の爆撃かなにかが起きたのだろうと思っていたのですが、その一年後、それがたくさんの爆撃でもなんでもなく、たった一発の爆弾によって起きたことを知り、新たな怒りがこみ上げてきました。」
人間は、本当の苦しみを経験しないと苦しみというものがわからないのだろうか。それを経験すれば、普通は二度と繰り返したくないと思うのだろうけれど、また、苦しみを知らず憎しみだけを知っている誰かが、苦しみを引き起こすようなことをするのかもしれない。それでも、どうか、このまま平和が続きますように、と山崎さんの渾身のメッセージを聞きながら思った。
*8月9日(月)21:00〜21:49 NHK総合「体いっぱいで原爆を語りつぐ」長崎・ろうあ被爆者の記憶
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