ヒトリゴト partIII
 Moritty



強く激しく美しく・・・

2003年01月17日(金)

今朝のニュースで深作欣二監督の告別式の様子を流していた。最期まで映画を撮ることに命をかけていた。壮絶な人生だったと参列者は語っていた。映画好きな私だけれど、深作作品は殆ど観ておらず、思い出すのは草刈正雄の「復活の日」と「蒲田行進曲」ぐらいだが、どちらも印象に残っている映画だ。もちろん、早すぎる死だったのだけれど、最期の最期まで好きな映画を撮ることが出来、そして愛する家族に看取られながら逝くことができた監督は、幸せだと思った。

朝そんなことを考えていたせいか、なんだか無性に映画が観たくなって、仕事をほっぽって映画を観に行くことにした。初めは、会社の近くの名画座で「この素晴らしき世界」と「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の二本立てを観ようと思ったが立ち観だったので、シャンテ・シネで上映中の「シャーロット・グレイ」を観る事にした。あまり期待していなかったのだが、思ったよりも良かった。ナチス占領下のフランスで反政府レジスタンスの諜報員として働くイギリス人女性シャーロット・グレイ(ケイト・ブランシェット)が主人公だが、悲劇的戦争映画というよりは、一人の女性の激しい生き様を描いた人間ドラマだった。シャーロット・グレイの強く熱く激しい生き様はとにかくカッコよかったし、でもしとやかで美しかった。(舞台がフランスなのに英語を喋っていたのでちょっと混乱したけど・・・)

今日は阪神淡路大震災があった日。8年前のこの日、6,433名の命が、殆ど一瞬の間に消滅した。亡くなった人のその時の気持ちを想像するのは難しいけれど、きっと「なぜ?」と思ったのではないか。私は健康だし、割と安全運転だから死なんて無縁と思っている。きっと、震災で亡くなった方もそんな風だったと思う。先日、人の寿命がわかる能力があるといった霊能者がテレビに出ていたが、寿命なんて神様にしかわからないはずだ。この世に生命を受けたものの使命は、死ぬまで生きること。それは人間であろうが、蝿であろうが、鯨であろうがおんなじだ。明日か10年後か50年後か知らないが、死ぬ時までただ一生懸命生きていくしかないのだ。何のために、なんて考えずにただ一生懸命。でも、何兆分の一か何京分の一かの確率で人間に生まれてしまったからには、せめて、深作監督のように死ぬ直前までしていたいと思うほど好きなこと見つけて、シャーロット・グレイのように強く、激しく、でもしとやかに美しく生きていきたいと思う。(…言うは易し、だけどね)

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