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こわい話が好きです。 けれど、いつも思います。 本当に怖い話ってどんな話だろう。
いかにも京極夏彦的な語り口による短編集『幽談』、 最終話の主人公は一心不乱に「こわいもの」とは 何かを突き詰めて考え抜きます。
こういうものは、驚くだろう。怖くはない。 こういうものは厭だ。とても厭だけれど、怖くはない。
私も「こわい話をして」と言われるといつも思います。 この話をするとびっくりするだろう。でも怖いだろうか。 この話は気持ち悪いけれど。怖いとは違うのかもしれない。 京極氏も常に思うのでしょう。
『幽談』は異様な話、とでもいうのでしょうか。 『夢十夜』的夢幻感や、厭な感じを、 さめているのか、執着しているのか、あの語りで。
怖くはない。 とても奇妙ではあるけれど。 この世には怖いものなど何もない──のでしょうか。 この世のものが怖くないのなら、あの世のものは。 あの世のものなど関係ないのだから、やはり怖くはない。 怖くはないけれど。
例えば。 亡くなったはずの親しい人を見かけたとしたら。 怖いだろうか。怖くはないだろう、親しかったのだから。 嬉しいだろうか。嬉しくもないだろう──
私もよく思いました。 京極氏も常に思うのでしょう。
だから、第二話「ともだち」の虚ろな寂しさが心に残ります。 (ナルシア)
『幽談』著者/京極夏彦 / 出版社:メディアファクトリー2008
2003年10月20日(月) 『パンプキン・ムーンシャイン』
2000年10月20日(金) 『悪を呼ぶ少年』
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管理者:お天気猫や
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