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徹頭徹尾、男と女の話である。
などと書いてしまうと誤解も生まれるが、でも、それもまた、アースシーの知られざる伝説の一端なのだから。
いや、結局のところラブ・ストーリーはいつでも、 どこでも起こりうる。(まえがきより引用)
ロークの魔法学院が、どのように形づくられ、男と女の知恵が結晶し、やがて女が退けられ、どのように男だけの世界となっていったか。時代時代に、ロークと関わった伝説の人物たちの物語でもあり、彼らの真(まこと)の名前−本質−があらわれゆく物語でもある。
外伝には「あの人」は登場するのだろうか?不明なまま読んだのだが、ちゃんと登場していた。しかも、全盛時代のあの大賢人が。「あの人」すなわち「ゲド」だけでなく、他の「あの人」たちもまた、それぞれに、再生の場所を与えられて。
ゲドが登場するのは「湿原で」。私にはサプライズだったが、これはネタバレにはならないだろうから。ここで登場する意外な人物にもまた、最大級の癒しが与えられている。癒しとは、「誰か」、自分以外の誰かからの受け止めである。
発売前から予約していたにもかかわらず、1年以上たってやっと読み、さらに時間を経てやっとここに書いている。その間、清水真砂子さんの講演に行けなかったり、残念なこともあった(内容は教えてもらったが)。あまり時間を経たので、ここにもいろいろは書けなくなった。
まえがきにある、グウィンからの言葉を引用する。
物事は変化するものである。
作者も魔法使いも必ずしも信用できる者たちではない。
竜がなにものであるかなど、誰にも説明できない。
昨今、ファンタジーの古典が次々と映像化されている。しかしゲドだけはまだその足音が聞こえない。著者が存命なこともあるのだろうけど、いつかは真打ちの異世界ファンタジーとして映像化されるのだろうか。もしそうなるのなら、相当に骨太で隠れロマンティストの文芸監督にお願いしたい。しかしいったい、誰がゲドになれるのだろう? (マーズ)
『ゲド戦記外伝』著:アーシュラ・K・ル=グウィン / 訳:清水真砂子 / 岩波書店2004
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管理者:お天気猫や
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