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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年01月21日(金) --

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☆落ち行く平家は誰々ぞ

今年の大河ドラマは「平家」ではなくて「義経」なんですね。
「確かに、この時期だったら平清盛を主役にした方が面白そう」
そこらの山に行けば平家の落人伝説がごろごろしていて、 どちらかといえば平家のほうが身近と言う事もあるのですが。

第一話見ました。今の所、清盛初めその周囲の 平家の皆さんの紹介篇という感じです。 過去にもいろいろ物語があるらしいので、 もう少し時代を遡った所から見たかったですね。
「原作本は宮尾登美子の『平家物語』なんでしょ?」
立ち読みして来ました。

ドラマの第一話、常盤御前が赤子の義経を抱いて仇である 清盛の元に身を寄せるというアクロバティックな発端の場面が、 全四巻のうちのなんと第二巻の最後でした。

「事前に二冊分の話がある訳だ。読まないと分からないかな」
ハードカバー本です。高いです。
『義経』のほうは司馬遼太郎にもありますけど。
「義経は大体分かるからいいや。平家の方、面白そう」
平家本読みますか。
「吉川英治の『新・平家物語』はどう」
そりゃ面白いでしょうけど全十六巻ですよ。
「私は学生時代、山岡荘八の『徳川家康』を」
ええっ、全二十六巻読破したんですかっ!
「その前に休みが終ってしまって十九巻までしか読んでない」
勿体ない。実家には箱入りハードカバー全巻が棚を一列占拠してました。
「読んだ?」
埃が凄くて、箱から出してもいません。
『四十七人の刺客』の池宮彰一郎の『平家』なども、政治的にハードで面白いかも。
でも考えてみたら、二次創作を読む前に原作を読むのが私の方針でした。
「二次創作って何?」
気にしないで下さい。とにかく、映画でも漫画でも、名作と 呼ばれるものならば、できればモトになったものを先に読みたい方です。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことはりをあらはす。
奢れる者も久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
たけき者もついには滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ。 /「原作」

「どこで止まるの」
一息にここまで言いきらないと気持ち悪いんですよ。
『平家物語』、岩波文庫で全四冊。
「読めないよそんなの」
ワープロだってこうやって「ぎおんしょうじゃのかねのこえ」と打てば ちゃんと「祇園精舎の鐘の声」って出してくれるくらいです。
全部は無理ですが、有名な場面なら注釈がついていればなんとかなるでしょう。

これまでも何回か「平家物語」を読もう、と思っては忘れていたんです。
華々しく砕け散る王国の物語、中世ゲルマン精神の神髄 「ニーベルンゲンの歌」を読んだ後や、 古代ギリシャの英雄達が相まみえるトロイの国の攻防戦、 全てのヨーロッパ文学の源「イリアス」を読んだ後など。
「滅びの比較?」
といいますか、どれも本来は文字を読む文学じゃないんです。
吟遊詩人が語る、耳で聞く文学。
でも翻訳ではそれは味わえないので、それなら音の分かる日本の作品でならばどうかと。

鏑は海に入りければ、扇は空へぞあがりける。

「カブラ?野菜の?」

沖には平家、舷をたたいて感じたり、
陸には源氏、箙をたたいてどよめきけり。

「エビラ?怪獣?」
‥‥邪魔しないでください。(ナルシア)


「宮尾本 平家物語 全四巻 」 著者:宮尾登美子 / 朝日新聞社
「義経」 著者:宮尾登美子 / 出版社:日本放送出版協会
「義経 上・下」 著者:司馬遼太郎 / 出版社:文春文庫
「新・平家物語 全十六巻」 著者:吉川英治 / 出版社:講談社歴史時代文庫
「平家 全四巻」 著者:池宮彰一郎 / 出版社:角川文庫
「徳川家康 全26巻」 著者:山岡 荘八 / 出版社:講談社歴史文庫
「ニーベルンゲンの歌 上・下」著者:不明 / 訳者:相良守峯 / 出版社:岩波文庫
「イリアス 上・下」 著者:ホメロス / 訳:松平千秋 / 出版社:岩波文庫
「平家物語 全四冊」 訳:梶原 正昭, 山下 宏明 / 出版社:岩波文庫

2004年01月21日(水) 『森のお店やさん』
2003年01月21日(火) 『種をまく人』
2002年01月21日(月) ☆本をどこで買いますか?(その6)

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