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舞台となるアメリカの町、クリーヴランド。 ジム・ジャームッシュの映画『ストレンジャー・ザン・ パラダイス』で、主人公が行きたがっていた町、 とすぐ思ってしまう。
この短い本は、その町にいる(はずの)人たちの独白で つづられている。すぐに読めるし、淡々と、そこで 起こったことをつづっているから、 ・・・と思ったけれど、やっぱり泣かされた。
アメリカにはいろんなものがごちゃまぜにあって、 決してすべてが一色にはならないで、 そして、こんな風な作品も、とてもアメリカらしい。
裏ぶれた町の片隅に、 ゴミ捨て場と化した空き地があった。 ある日、ヴェトナム移民の少女が、ほんの思いつきで、 豆を蒔いてみる。
そこから芽を出し、つるをのばし、広がっていったのは、 ギスギスして受け入れることを知らなかった 町の人たちの間の、「つながり」だった。
だれの人生にでもおこりうること。 奇跡と呼ぶにはあまりにもささやかな、 けれども決意なしには生まれなかった変化。
世界がどんな風に連鎖していくのか、 そしていったん種が蒔かれたら、 どれほど有無を言わさず伸び広がるものなのか。 彼らひとりひとりの独白を読みながら、 胸には「アメイジング・グレース」を流していた。 (マーズ)
『種をまく人』 著者:ポール・フライシュマン / 絵:ジュディ・ピーダセン / 訳:片岡しのぶ / 出版社:あすなろ書房
2002年01月21日(月) ☆本をどこで買いますか?(その6)
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管理者:お天気猫や
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