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最近、「妖怪」づいている。 今年になって、やっと遅まきながら『巷説百物語』を 「続」も「後」も含めて、三冊読み終わった。 もともとが、妖怪好きだったので、その後もぼつぼつと、 合間合間に、某かの「妖怪」ものを読んでいる。
漫画ではあるが、先日の今市子さんの『百鬼夜行抄』は しんみりと、恐ろしかった。 その時合わせて買って読んだ、波津彬子さんの『雨柳堂夢咄』も、 同じように妖が現れる物語ではあったけれど、全体的に艶っぽくて ロマンティックな感じだった。 その勢いで、見つけた「妖怪」ものが、この『しゃばけ』。
舞台は江戸時代。 暇があればしょっちゅう死にかけているくらい病弱な大店の若旦那と、 とにかく一が若だんなで二から先がないくらい、 若だんな大事の忠節な妖怪・犬神と白沢 (普段は手代に化けている)の推理帖。
軽妙でユーモラスなお話で、スイスイ読み進む。 優しく人情味あふれる若だんなに、頼もしくも微妙にずれている お目付役の妖怪犬神・白沢。 若だんなの目にしか見えないけれど、家中そここに潜む鳴家(やなり)。 年を経た古道具は、付喪神に姿を変え、体の弱い若だんなの 格好の遊び相手である。 そんな若だんなの前で通り魔事件が。 口うるさい犬神や白沢からは事件に関わるなと釘を刺されるが、 やがてその危険が若だんなにも迫ってくる…
ほのぼのなごみ系の妖怪もので、『百鬼夜行抄』で恐ろしい 思いをしたのもすっかり忘れ、人ならぬ仲間というのも これまたいいなあと気持ちよく読み終わった。 まあ、推理ものとしてはぬるめだろうけど、疲れている時に、 ぱらぱらと楽しくめくれる本。 しかし。 続編の『ぬしさまへ』(2003年5月刊)も好評のようだが、 するする読める面白い本というのは、その反面、 ハードカバーで買うには、ちょっと手が出づらい感じもあって、 読みたいんだけど、できれば文庫本で読みたいなあと、 迷っている(まだまだ先だろうけど…)。 (シィアル)
『しゃばけ』著者:畠中 恵 / 出版社:新潮文庫2004
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管理者:お天気猫や
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