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私は、霊感が強い、というタイプではない(と思う)。 それでも、折節、ささやかではあるけれど、 不思議なことを体験している。 子どもの頃、祖父の死を知らせる正夢を見たり、 大好きだった祖母の死に際しては、「虫の知らせなる」ものを 経験した。まあ、それはストレスからであると、今では、 わかってはいるが、就職した頃しばらく、金縛りに悩まされた。 ただし、カンがいいというのは、いいこともあって、 ほんとうに些細なことだが、スーパーの福引きで、 特賞を三本続けて引いたり(でも、景品はボールセット)、 ごくたまに、びびびっときて、「この懸賞は当たる」という 確固たる予感の下、一人二人にしか当たらないような商品が 当たったこともあるにはある。 しかし、幸いにして、この世ならざるものを見たことは、 未だ無い(と思う)。
主人公の少年飯島律は霊力が強く、妖魔や悪鬼の類が 見えてしまい、あちらの世界との間のさまざまなやっかい ごとに巻き込まれてしまう。 人間の思惑とは関係なく存在する悪鬼もあれば、 人の憎しみや悲しみ、愛情が、深すぎる故に、 あやかし、妖魔へと変貌してしまったものもある。 そういう人にあらざるもの、あるいはかつて人だったもの との身も凍るような怖ろしい対峙が、 随所にユーモアを散りばめながらも、 やはり、心底ぞっとする怪談として描かれている。 ただ、ほんとうにぞっとする怖ろしい物語であっても、 その怪異の発端は、「情」からであるから、 そういう風にならざるを得なかった、哀しみ、哀切を感じる。 私の怖いのは、怪異そのものではなく、 そういうものを招いてしまう、人の「情」というものが、 つまりは、人というものの「業」が怖ろしいのかもしれない。
この漫画は、考えてみると、数年来、気になりながらも、 なかなか買うまでに踏み切れなかった。 先日やっと、連休の暇つぶしにと、試しに1冊買ったら、 一挙にはまってしまい、翌日、文庫シリーズの残り6冊を 全部買ってしまった。 自慢ではないが、私は本を読むのも速いし、 漫画を読むのも異様に速い。 けれど、この漫画、内容が濃いので、さくさくと読んで いるつもりでも、なかなか読み終わることができない。 面白くて、次の話、その次の話と、次々に物語が気になるから、 どうしても、途中でやめておくことができない。 はっと気づくと、真夜中になり、最終巻(6巻目)も、 あと2話で終わりというところまできて、その物語の 怖いの何の。全部話は読みたい、でも怖くて結末が開けな い、そんなジレンマの中、ふっと時計を見ると、 まさに、丑三つ時。 結局、最後は2話とも、結末の2-3ページを飛ばして 慌てて本を閉じ、翌日日が高くなってから、 その怖いページを開いたのですが。 昼間でも、背筋がスーッと、寒くなるような、 そんな怖さでした。 (「マヨイガ」「骨の果実」/ 第6巻)
夢中になって最初読んでいたときには、 怖さの中に光る、ユーモラスな描写がとても面白かった。 一読目は怖かったとはいっても、割にライトな読後感であったけれど、 読み返せば、読み返すほどに、読後の思いが重くなり、 読めば、読むほど、どんどん怖ろしくなっていく。 恐怖を語るのに、「怖い」だの「怖ろしい」だのと連呼して、 その繰り返しというのは、芸がないとは思うけれど、 芯から怖がっているので、そうとしか言いようがない。
1巻の「人喰いの庭」の、人喰いのヴィジュアルが、 私は猛烈に怖かった。けれど、ストーリーは哀しく、 何となく理不尽を感じつつも、読後感がいいので、 私にとってはもっとも印象的な物語でもある。 これを読んで、『百鬼夜行抄』の続きをもっともっと読みたいと、 そう思うほど、惹きつけられた。
心底怖ろしい物語だけでなく、 軽妙で、わりとハートウォーミングな物語まで、 じっくり楽しめると思います。
私の怖かったエピソード BEST 3
NO.1「マヨイガ」(油断すると夢でうなされそうで怖い)
NO.2「骨の果実」(想像するだけでじわじわと怖い)
NO.3「人喰いの庭」(シンプルなヴィジュアルがしみじみ怖い)
『百鬼夜行抄』 著者:今市子 / 出版社:朝日ソノラマ
2002年05月07日(火) ☆リンダ・ハワード・リーディング(その1)
2001年05月07日(月) 『知の編集術』
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管理者:お天気猫や
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