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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年05月07日(月) --

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『知の編集術』

☆意識することで、目は開かれる。

IT(情報通信技術)の時代だという。 確かに、私の住んでいる田舎町のショッピングセンターでも、 IT講習が開かれている。 パソコンにせよ、携帯にせよ、機器というのは 「技術」を身につければそれで良しというものでもない。 「情報」といかに向き合うのか、その姿勢も含めて、 初めて使いこなせるというものではないか。

で、その「姿勢」である。 情報過多の今日、降り注ぐすべての情報を受け止めることはできない。 その情報の一部であっても、活用となると、やはり難しい。 だからこそ、「情報活用能力」とか、「情報編集能力」という言葉が 随所で軽やかなステップで踊っているのであろう。 「情報活用能力(メディアリテラシー)」については、 またの機会に譲るとして、「情報編集能力」であるが、 その一歩は何のことはない、私たちの日常である。

友達との電話。 とりとめなく話しているようで、 それなりに、1日の出来事を切り取って、 「編集」して話している。 今日の晩ご飯。 何を作ろう。 冷蔵庫の中や、各人の好み、朝・昼のメニューなど、 いろんな「情報」をつきあわせて考えている。 それが「編集」。 日記を書く人。 当然24時間すべてを、もらさず、書き付けているわけではない。 映画のあらすじを語る。 TVドラマの話。 本の紹介。 これらすべて、人は「編集」して、その情報を伝えている。

「編集」とは、つまりは、そういうことなのだと、 松岡正剛は述べている。 ただし、情報編集「能力」ともなると、 無意識のうちにやっている日々の言動ではなく、 「何」を必要としているのか、 「何」を言いたいのか、その過程も含めて、 もっと的確に、より効率的に、意識して思考しなければならない。 最終的には、情報を切り取る、編集するというのは、 「センス」の問題でもあると、私は思うが、 もちろん、個々人の努力や訓練で磨いていくことのできる能力だ。 いや、まず、それを意識するか、無意識のままなのかで、 もうここで、大きく差異が生まれるのではないか。 要は、情報−物事全般について、 常に意識して考える習慣こそが大切なのだろう。

そんなことを考えながら、読み終わった。 私は、「何を切り取るのか?」 確かに、そういうことが常に念頭にある。 年度初めに、最良の1冊であった。(シィアル)


『知の編集術−発想・思考を生み出す技法』著者:松岡正剛 / 出版社: 講談社現代新書

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