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夢の図書館新館

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-- 2004年04月28日(水) --

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『新版 指輪物語2旅の仲間(上2)』

先週やっと映画の完結編を観てきたばかり。 ラストでは涙しているファンもいた。 映画『王の帰還』には、なつかしいホビット庄出発の回想や ビルボとの再会、ゴクリの過去など、原作のはじめに出てくる 場面も多く盛り込まれている。

さて、私はこの原作を、小さい人たちが指輪を捨てるという 役目を背負った本だから、小さいサイズで読んでいる。 というわけではなく、 この小さい新版の装丁も気に入っているのだ。 しょっちゅうひっくり返して調べるのにもいいし、積みやすいし。 と言い訳のようにしているが、本当に、予算のためだけでは ないのである。

第2巻では、フロドたちが本格的にホビット庄を離れる。 とたんに古森の中で柳じじいに襲われ、 森の住人トム・ボンバディルの家に助けられて身を寄せ、 塚山古墳で塚人にさらわれたりしながら、 ブリー村の「踊る子馬亭」でアラゴルンこと 野伏の馳夫(はせお)と出会う。 執拗に指輪の運び手を追う黒の乗手たちに フロドが刺され、闇の傷を負う。 命からがら裂け谷のエルロンド館をめざし、 川を逃げ渡るところまでが描かれる。

この巻では一行が魔法使いガンダルフと行き違うので 本人は登場せず、彼の残した手紙が読めるのみ。 ただ、1巻でも兆しはあったが、 このあたりから本格的に、ガンダルフは前作の『ホビットの冒険』と 異なり、指導者的な責任ある人物として描かれているのがわかる。 なんといっても、ビルボとの旅では、しょっちゅう大切なときに 消えてしまって、理由はあったにしても、 当てにならない人だなあ、という印象だったから(笑)。

森の主人トム・ボンバディル(とゴールドベリ)は、 映画には登場しなかったが、監督の敬愛するキャラクターと聞く。 フロドたちの困難な旅の始まりに、 このような超自然的存在が介入することは、 すでにこの旅が、なされるべくしてなされるのだという お告げにも近いトールキンからのはなむけにちがいない。

指輪物語を読む楽しみのひとつは、 『指輪』以降の、指輪ファンの作家やクリエイターたちが つくった作品の拠るところが、 ああ、この場面はあそこにつながっているのだ、と 浮かび上がってくることだろう。

ゲドも、この種から生まれたのだ。 そしてナルニアは、著者どうしの共有と対立も映し出しながらの パラレルワールドですらある。 (『妖精国の騎士』も忘れずに!)

ナルシアも以前書いていたけれど、 さまざまな人種(種族)でにぎわう酒場で起こる 敏腕助っ人との出会いなど、懐かしの『スターウォーズ』だし、 ダースベーダーの黒さ加減は、黒の乗手そっくり。

さてもハン・ソロめいた、しかし高潔な人物は言う。

「だが、幸いにしてわたしが本物の馳夫だよ。」 ホビットたちをじっと見おろしながらかれはいいました。 その顔は不意に浮かんだ微笑にやわらぎました。 「わたしはアラソルンの子、アラゴルンだ。 そしてわたしは、命にかけてあなた方を助けることができる。 助けて差し上げよう。」(引用)

・・助けてください、仕事やめてついて行きます。 (マーズ)


『新版 指輪物語2 旅の仲間(上2)』 著者:J・R・R・トールキン / 訳:瀬田貞二・田中明子 / 出版社:評論社1992

2003年04月28日(月) 「聖なる夜に」

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