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何かになりおおせることは、 何かになることよりも、難しい。
けれどたいていの場合、 何かになることが、とりあえずの目標なのだ。 自分にそれだけの才能があるかどうか、 そして才能だけで足りるのかどうかもわからないけれど。
もしも、なりたがっていた何かに一度なったなら、 才能がないということはないのだろう。 ちょっとした才能は、あって当たり前、 他の誰かが、どれだけ練習しても身につけられない力を、 あなたはもっているのだ。 けれど、なりたかった何かのままいつづけるためには、 才能以外の何かも必要になる。
今は亡きかつての映画女優、タルーラと 知り合った『私』ことジーンマリーと マルコム・スー。 マルコムは、ジーンマリーが『クローン人間』と呼んでいる 同級生たちとは違ったつながりを感じている唯一の友人だ。
タルーラのいる場所は、 ジーンマリーが名付けた『エリコの丘』の地下に あるらしい、『ラハブの宿』という部屋。 二人の子どもたちは、そこへと招かれる時間をこよなく 大切に思い始める。 普通の大人とは違ったタルーラとともに過ごし、 彼女の昔の仲間たちのもとを訪ねる旅を楽しむ時間。
大女優になりたいと密かに願っているジーンマリーと、 論理的な大科学者になりたいマルコム少年。 二人はタルーラに呼ばれ、彼女の探偵となる。 タルーラが死んだときになくなったという 『レジーナの石』という宝石の行方を追いながら。
スターになるために必要な三つのもの、 二人はその答えを、レジーナの石とともに見つける。
カニグズバーグの描いたこのファンタジーは、 彼女の描く他の現実世界の物語以上に、 人生の核心を突いてくる。 『才能』や『夢』が人生の目的となっている人たちにとって、 その両方を手にしたタルーラからのメッセージは、 熱くて痛いものにちがいない。 (マーズ)
『エリコの丘から』 著者:E・L・カニグズバーグ / 訳:小島希里 / 出版社:岩波少年文庫2000(新版)
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管理者:お天気猫や
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