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子どもって、ほんとうに『おばけ』が好きなんだなぁ、
と思う。図書館で借りたこの本は、貸し出しスタンプがぎっしり。
表紙には、クリスマスツリーのオーナメントみたいな
白い服の小さな『おばけ』たちが、枝先にふわふわとまっている。
森のなかの木の上に家をつくって住んでいた
ひらりぼうやの一家。
彼らは『森おばけ』という種族のおばけで、
仕事は樹木や草花を元気にすること。
そんな森おばけの家族が、あるとき、森から出て
小学校の教室に住むことになったから、
さぁ、一年生のクラスは大騒ぎ。
おばけのおかあさんは、『おばけ・びん』で
においを集める。このにおいが、おばけのごちそうなのだ。
白くゆれるカーテンのかかったおばけの家は、
人間の家みたいにごちゃごちゃした持ち物がなくて、
こころ休まる避難空間という感じ。
引越しの方法がまた、とってもおばけらしくて、
これを読んだ子どもたちの反応が知りたくなった。
小学校の教室には、もう長いこと入ったことが
ないけれど、ああ、そうだったよね、こんな風に
毎日過ごしていたんだよね、と、
おばけが引っ越した一年生のクラスの、
29人のフルネームを順になぞりながら、思い出すのだった。
決められた日課を集団でこなしながら、
クラス全員のフルネームを皆が知っていて、
担任の先生の家のことが気になったり、
見えない誰かに手紙を書いたり、
危ないところに探検に行ったり。
そんなことをしていた日々を。
いまでは、人のフルネームをおぼえることすら
めったにないことだけれど。
来年の桜の季節、夜空を見上げたら、
おばけたちの、きらっと光る『ほしボタン』が
見えるかもしれない。
(マーズ)
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管理者:お天気猫や
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