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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年02月05日(水) --

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『山びこのメルヘン』

☆ネットで手に入れた「懐かしい思い出」。

絵の説明を言葉でするのはむずかしいけれど、 子どものころ読んだ童話には、よく、 鈴木義治の挿絵が描かれていた。

『美女と野獣』の再話風の物語は、 本が手もとにない今でも、思い返すことがある。 風にとばされそうな女の子の胸中を想った そのころの気分といっしょに。

そのひとの描く外国のお姫様や風景は あまりにも自然に、子どもの胸に入ってくる。 うれいを帯びた人物の表情は、 子どもごころにも、デフォルメされた表現の、 豊かなふところを感じさせてくれた。 そう、この人は、上手なふりはしていないけれど、 こういう絵を描く人は、かなりうまいのだろうなと 想像してみたり。

タッチは絶対日本の絵じゃないのに、 なぜか日本の風景もそのままに描ける、 不思議なヴェールのかかったような絵。

大人になって『ハーメルンの笛吹き男』を描いた絵本を見て、 画家の名前を思い出した。 それからときどき気になっていたけれど、 いま、やっと、1977年発行の画集を手にいれることが できたのだった。

『山びこのメルヘン』というタイトルだけで、 知る人には、鈴木義治的な世界が、 湧き上がるように想像されることだろう。

私があえて画集を探していたのは、 画家本人のことを何も知らなかったから。 さしものネット界でも、鈴木義治の情報は少なかった。 画集には奥付にプロフィールが載っている。 それによると、もともとは宣伝美術の世界にいて、 画家としても数々の経歴を経て、 1965年ごろから児童書や絵本の仕事を多く 手がけるようになったという。

後書きに当たる「私とひとりごと」で、 画家のことばを初めて読んだ。

何度もうなずきながら。

そこに、画家の絵筆の先にあらわれている 不思議な線にやどった魂が仄見える。

夢を実現させるには、経験のつみ重ねよりないとなれば、
十年のわずかな経験でも、やがて未来の夢を実現させてくれる
ことと信じています。  (後書きより引用)

(マーズ)


『山びこのメルヘン』鈴木義治画集 著者:鈴木義治/ 出版社:岩崎書店(現在入手不可です)

2002年02月05日(火) 『アラバマ物語』
2001年02月05日(月) 『私家版』

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