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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年06月20日(木) --

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『マレー鉄道の謎』

雨降りの日には旅に出よう。 ちょっと格好良い名探偵と性格の良い助手と一緒に 優雅なアジアン・リゾートで密室の謎解きなんて最高ですね。 コケ脅しのない清潔な文体は、お茶のお伴にもぴったりです。

予告されながらなかなか出なかった『マレー鉄道の謎』、 ファンにはお馴染み『火村&有栖』シリーズ久々の長編です。 他の『国名シリーズ』や『絶叫城殺人事件』のような 一発芸炸裂の短編集も大好きですが、 最近のミステリはなんとかして読者をひっかけようとするあまり 反則技連発でおちおち謎も解いていられない、 そんな中で安心して真っ向から本格の謎ときに取り組めるのは 今や有栖川作品の長編ぐらいしかないでしょう。 ‥‥一度短編に反則があったからな。←まだ恨んでる

我らが助教授が真相を掴んだらしいあたりで本を伏せ、 (いわゆる「読者への挑戦」が入りそうなあたり) 動機と犯人は考えなくても察しはつくけど、 他の用事をしながらトリックをつらつらと考えます。 お茶碗を洗いながら一人天井に向かってつぶやく。 きっと、これだ。 ふふん、悪いなアリス。わかっちゃったもんね。 再び本を開いて続きを読み、クライマックスに突入。 やったあ火村、やっぱりそうでしょ。私も同じ考えだったんです! 考えて分るという事はそれほどすごいトリックじゃないじゃない、 と言われるでしょうが、ちゃんと考えれば分るようにきっちりと 手掛かりを配置しておくというミステリはいまや希少なのです。 この快感を味わうために私は小学生のころから ミステリを離れられないのでありました。 ついでに言うなら小学校で有栖川先生と同じ本を読んで ミステリにはまっちゃったのが自慢だったりして。

でも有栖川ファンの、特に多くの女性のおめあては 過去の影を背負った臨床犯罪学者火村と 心なごます人柄の推理作家アリスの友情漫才(笑)。 謎ときが面倒な人は二人にくっついて会話を追うだけでも充分楽しい。 殺人の話で心和むというのも何ですが、 なんというかアリス、君はいいひとだなあ。
(ナルシア)


『マレー鉄道の謎』 著者:有栖川有栖 / 出版社:講談社ノベルス

2001年06月20日(水) 『クマのプーさんティータイムブック』

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