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タイトルだけで買ってしまう本があるとすれば、 これも充分にその分類に入るのではないだろうか。 興味中枢を刺激されてしまった。
ある日、子どものいない中年夫婦、ボブとジョーンの前に 突然あらわれた少年は、自分がネズミだった、とだけ告げる。 「そんな、ばかな!?」 である。そのようなことは起こらないはずなのである。 しかし、姿はどこから見ても少年にしか見えないこの子は、 確かにちょっと変なところがある。 目についたものを何でもガジガジかじってしまうし、 シーツをびりびりにやぶって、巣をつくったりする。 エンピツだけは、人間の子どもにもなじみの味かも。
この無垢な少年に親としての愛情を感じ始めるふたり。 少年は名前をもらって、暮らしはじめる。 そんな矢先、少年が行方不明になり、 ふたりは必死の捜索を始めるのだが、果たして再会は?
遊びごころいっぱいの本書は、 随所に架空の新聞『ザ・デイリー・ゴシップ』誌の誌面を イラスト付きで掲載。 皇太子殿下の結婚相手で、庶民に大人気のシンデレラ・オーロラ嬢の話題や ストーリーにからむネズミのゴシップネタを流し、抑揚をつけている。
夫婦の職業が靴直しの職人で、市場のそばに住んでいることも 最後に救いになるという楽しい趣向である。 ストーリーのあちらこちらには、とても楽しいなどと 言っていられない、やっかいなこともサンドイッチされている。 プリンセスの素直な言葉にも、しんみりさせられる。
さて、プルマン二冊目の謎の解決方法。 少年はどうやって絶体絶命の窮地から救われるか? これを読み終えて、私は納得した。 プルマンは、謎の一部が謎に包まれたままなのが─好きなのだと。 (マーズ)
『ぼく、ネズミだったの!』 著者:フィリップ・プルマン / 絵:ピーター・ベイリー / 訳:西田紀子 / 出版社:偕成社
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管理者:お天気猫や
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