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原題は、『シャーロットズ・ウェブ』。 彼女がクモであることがタイトルからもわかる。 「クモという生きものは、何の象徴でしょう?」 ときかれたら、 「昔はどうあれ、今はネットの象徴、つまり、クモのウェブは、 人と人との、言葉を介したコミュニケーションの象徴です」と 答えるだろう。
この名作は、最初のページからちょっとちがう。 『羊たちの沈黙』のクラリス・スターリングが読んだら のけぞりそうな、子豚を始末しようとするお父さんが登場。
その、ひよひよしたできそこないの子豚は、 8歳の少女ファーンの必死のぶらさがり懇願によって 死から救われ、このお話の主人公ウィルバーになる。
もうひとりの主人公が、クモのシャーロット。 豚とクモでありながら、お互いにわかりあえる言葉を 交わせる、心を通わせることができるふたりの友情と、 見守る子どもや農場の動物たちの絆を、 リアリティと油断ない表現で描いている。
ファンタジーという大きなウソはついても、 小さなウソは、ここにはない。 そういう出会いが、どれだけ貴重で数少ない奇跡であるか、 これを読んだ子どもたちが大人になったとき、 思い知ることだろう。
物語のなかで、時間は容赦なく進む。 自然は一日たりとも止まってくれない。 人間にとっては長い連続した時間のなかの単なる一年だが、 クモや、子豚にとっては、大きな意味をもつ、 生きる意味そのものを支える一年が過ぎる。 『葉っぱのフレディ』でも描かれた生命のサイクルと 一抹のさびしさ、再生、おおいなる自然の姿もまた、ここにある。
※本書はアメリカで1952年に発表され、ベストセラーとなる。 日本でも古典的人気を誇っていたが、2001年に再訳が試みられた。 私が読んだのは新訳。 (マーズ)
『シャーロットのおくりもの』 著者:E・B・ホワイト / イラスト:ガース・ウィリアムズ / 訳:さくまゆみこ / 出版社:あすなろ書房
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管理者:お天気猫や
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