HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館
夜ごとに語られる、妖精の物語。
屋根裏で"ごく普通の"小人が暮らす人形の家に、 ある嵐の日、羽の破れた美しい妖精が迷い込み、 小人は夜ごと彼女の語る物語にすっかり こころを奪われてしまう。
ちょっとした火の番をしたり戸締まりを確かめたり、 その家を守るのが小人の仕事。 でも物を食べることすら小人は忘れて、 彼女への疑いを完全に消すこともできず、日々が過ぎる。 昼間は眠っていて透明になり、 夜になると姿が見える可憐な妖精をどうしても、 追い出すことができない。 家からも、こころからも。
もうちょっと、もうちょっとだけ、… 小人のこころにも、読んでいる人のこころにも 同じ願いがこだまする。 この妖精はどうなってしまうんだろう? 目の前にいる妖精は、どんな世界を旅してきたの?
だって、妖精が願っていたのは、 人間や動物たちのように、誰かと結婚して子供を産んで、 そして死んでみたいということだったから。
でもそれは、妖精にとって、不可能な夢だと 誰もが笑った。 ちょうど、人間のあなたが妖精になって、 ハチミツを食べながら不死の王国で 暮らしたいと願うのと同じように。
生まれついた世界をはずれるということは 妖精でなくても大変なこと。 けれど、一度生まれた夢は、簡単には消えなくて。 いつかその羽が、ぼろぼろになってしまっても だれかが、どこかで、あなたのお話を 聞いてくれるために待っているかもしれない。
今現在、羽を傷だらけにしながら 飛び続けているあなたに、 そして飛ぶことのできないあなたにも、 夜ごとの物語と、その後の物語を。(マーズ)
『夜物語』 著者:パウル・ビーヘル 訳:野坂悦子 / 絵:小笠原まき / 出版社:徳間書店
>> 前の本 | 蔵書一覧 (TOP Page) | 次の本 <<
管理者:お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]