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時の彼方から現れた男性。 もちろん彼は、最初から「恋人」というわけではない。 むしろ、突然過去から降って湧いた男性に対し、 恐れやとまどい、まったく違う価値観や世界観に驚き、 お互いに反発しあう。 そういう二人が、さまざまな困難や事件に巻き込まれ、 一緒に乗り切っていくうちに、 やがて互いへの信頼感が芽生え、それが愛情へと育っていく。 当然、二人の距離が縮まっていく過程は、 長い、長い物語となる。 それが、この"タイムスリップな"恋愛物を読む醍醐味。
以前、取り上げた、これらのジャンル(!)の本は、 確かにどれもが分厚かった。 やはり、異世界から来た男性と、 うち解け心が通うようになるには、 それ相応の時間とエピソードが必要なのである。
だが、そういう意味では、 『2000年目のプロポーズ』は、薄かった。 これという大きな困難を乗り越えることなく、 割と簡単に、ヒロイン・メガンと魔神ギルガメッシュ(通称:ジル)は お互いに引かれあっていくのである。 今まで読んだ"タイムスリップな"恋愛物の中でも、 呪いをかけられた魔神とのロマンスというのは、 設定からして群を抜いて、ユニークな物だ。 なのに、ストーリーの平易さは、 「ロマンス」に落ち、それが成就することが前提の ハーレクインロマンスだからかもしれない。
じゃあ、おもしろくなかったのかと問われれば、 いや、面白かった、と一も二もなく、答える。 だって、ほんとに、面白かった。 ただ、アン・ライスといい、 リンダ・ハワードといい、 先に読んだ物が濃すぎたのだ。 あるいは、ジュード・デヴローは、 日本でこそ、翻訳されている本は1冊きりだが、 アメリカでは多くの本を出している、巧みな語り部のようだ。 読んだ順番は最後であったが、 この本は、"タイムスリップな"恋愛物の入門編、という位置である。 なかなかに、この世界も奥が深く、 ハードルは高いのである。
で、小さな発見。 過去から現れる彼らヒーローは、 結構、アルマーニやラルフ・ローレンがお気に入り。 ギルガメッシュしかり、ニコラスしかり。 まあ、揃いも揃って、伊達男なのである。 余計な話ついでに、 ヒロインのメガンという名。 今ひとつ、ピンとこなかったのは、 ジノだの、メガンだのという名に原因がある。 どうも、私の中ではロマンティック指数の低い名なのである。 けれど、メガンというのは、 流行の今風の名で、 イギリスの女性の名前Top10に名を連ねていた。 意外であった。 私の「日本の耳」に、馴染みがないだけであった。 でも結局、こんな風に今まで知らなかったことを 知り得たことで、私にとっては、かなりお得な本でもある。
やはり、この本は出会うべくして、出会った大切な本である。(シィアル)
『二千年めのプロポーズ』 著者:ダーリーン・スカレーラ / 出版社:ハーレクイン
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管理者:お天気猫や
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