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「氷の宮殿」「冬の夢」「金持の御曹司」「乗継ぎのための3時間」「泳ぐ人たち」「バビロン再訪」
ここに収められた短編である。
タイトルは多くを語る。
代表作の「華麗なるギャツビー」を読んでいないのは
めずらしいのかもしれないが、いつか読もうと思いながら。
20世紀前半のアメリカ社会、 そこに本当に生きていたかのような人々。 いや、これらの物語を読んだアメリカ人の多くが、 そこに自分たちの社会の夢の香りを読み取ったからこそ、 フィッツジェラルドは「アメリカ」なのだろう。
私は自分が南部育ちなもので(笑)、 「氷の宮殿」で、結婚のために北部の都会へ 行きながら、ジョージア州の南のはしの町が 忘れられなかったサリー・キャロルの話が好きだ。
そういう、両極の場面を行き来する人々が 主人公に選ばれている、古きよき亜米利加の社会。 社会のピラミッドの上のほうの、 ちょっと今の日本からは想像できないような。
世間に求められたハッピーエンディングに 迎合せざるを得なかったという作家のジレンマも 偶然過ぎる男女の再会といった結末に 感じられはするけれど、この時代の多くの職業作家は、 そうした制約を受け入れ、課しながらも、 だからこそそのなかに自分にしかできない 文学作品としての輝きを焼き付けることに、 いっそう熱をいれたのではないだろうか。(マーズ)
『フィツジェラルド短編集』 著者:フィツジェラルド 翻訳:野崎孝/ 出版社:新潮文庫
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管理者:お天気猫や
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