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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年05月10日(木) --

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『ものがたりの余白─エンデが最後に話したこと─』

私たちはときに、言葉には価値などないという。 言葉で伝えられないものが大切なのだと。

この本に残されたエンデの言葉は、 言葉への信頼に満ちている。 あるいは言葉を語る存在への信頼に。 その存在を存在させうる宇宙への信頼に。

あまりにも自然体で、あまりにも率直なヴィジョンが 次々とあらわれて、ページは飛ぶように 過ぎてゆき、やがてテープは白い余白になり、 エンデは死の床にいる。

誰の人生もそうであるように。

エンデは励ます。 私たち人間が、生まれた瞬間から言葉を話そうと 必死になるのは、もともと言葉を内に持っているから。 それなのに、言葉に価値がないなどと 誰に言えるだろう?

聖書に書かれた宇宙のはじまり、 それは言葉による波動だという人もいる。 そこからすべての「遊び」は、はじまったのだと。

「この宇宙全体は、ただ言語から成っている」

そう語った魔法使いは、いまどこを飛んでいるのだろう。(マーズ)


『ものがたりの余白─エンデが最後に話したこと─』 著者:ミヒャエル・エンデ / 聞き手・編訳:田村都志夫 / 出版社:岩波書店

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