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『針の眼』で有名なケン・フォレット、実は初めて。
第二次大戦中のカイロが舞台のスパイ活劇。 カイロを統治するイギリス軍の少佐、ヴァンダムと ドイツ軍のスパイ、ヴォルフとが トレンディドラマ顔負けの確率で、カオスと化した カイロの街の至るところで遭遇し、 知らず知らず軍全体を巻き込んで、 究極の個人戦を繰り広げてゆく。
タイトルの『レベッカ』は、デュ・モーリアの小説。 この本が重要な暗号のテキストに使われている。 ロンメルやサダトなど、実在の英雄も登場するので 虚実入り乱れた展開の行く末を知っている人も 私のようによく知らない人も、 歴史を楽しめる大風呂敷な作品である。
ところで、主人公がどちらの男なのか、 前半はわからなかった。 こういう作品は、必ずどちらかの側に立って描かれている はずという先入観があって、先に登場して出し抜いていく ヴォルフ─孤独なスパイ─が主人公かと思ったのだが、 歴史の善悪という単純な物差しで見れば、 冷徹なヴァンダム─孤独な40前の中年男─が主人公だった。 とはいっても、二人ともが主人公であることにはちがいない。
戦いは、先に冷静さを欠いた者が敗れる。 最後はまさにそれ。 そして、できる女を味方につけなければ、勝てない。 実際の戦争ですらそうなのだから、職場など言わずもがな。(マーズ)
『レベッカへの鍵』 著者:ケン・フォレット / 出版社:新潮文庫
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管理者:お天気猫や
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