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新美南吉、1913-1943。 三十歳を目前に生涯を終えた児童作家のファンだ。 昔、小学校の教科書に載っていた 『ごんぎつね』を おぼえている人も多いだろう。 今も載っているのだろうか?
早熟で多作だった南吉には多くの 童話作品があるが、なかでも 『さいごの胡弓ひき』と 『おじいさんのランプ』は、 一本の運命の両端を描いたように思える。
『さいごの胡弓ひき』で南吉は、 胡弓ひきという職業の、最後のひとりになった若者の 最後の最後までを描き、その終焉に 残酷なまでの胡弓との決別を与えた。
『おじいさんのランプ』では、 ろうそくの時代を経て流行のランプ売りになった若者が、 電灯の登場で廃れてゆくランプに前向きに決別し、 新しい時代に果敢にとけこんでゆく姿を描いた。
どちらがいいとか、悪いとかでなく。 それでも、 両作品を読み終えたときに、 さいごの胡弓ひきへのやるせない同情が おさえられないのが人の常であり、 おじいさんの勇気に敬意を表しながらも、 滅びに向かう、凛とした勇気にこがれる。
だれにでもできることではないから。 だれにでも許されることではないから。
南吉は子供たちのための作品を 人生のほとんどを費やして書いた。(マーズ)
『おじいさんのランプ』 著者:新美南吉 / 出版社:てのり文庫(大日本図書)
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管理者:お天気猫や
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