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発刊された当初はこの本も、平積みされていた。 濃い赤が印象的な表紙。 ガーベラのような赤い花の上に、黒い影が落ちている。 (読み終わってもう一度表紙を見ると、 ああこの花は…と、花の名前もわかります。) とても目を惹かれた。
しかし。 『フローリストは探偵中』 ぱっとしないタイトルだ。 もちろん、聞いたこともない作者で、 申し訳ないが、出版社が集英社文庫となると、 まあ、ひどく外れることはないにしても、 無理して読まなければいけないような本でもないと(…失礼)、 そう思ってしまった。
けれど、表紙がとても気になっていたことも事実で、 本屋に行くたびに、本を手に取り、 買ったものかどうしたものか、しばらく考えつづけていた。 腰巻の惹句はあてにならない。 だが、参考になるような情報もない。 その時ふと、 amazonのアメリカサイトではどう評価されているのだろう。 そう思いついた。 原題は『ROOTS OF MURDER』 さっそく調べてみると、私にとっては意外にも ★★★★であった。(5つ星中) じゃあ、ちょっとは期待できるかなと、 やっと踏ん切りがついたのだが、 やはり、あくまでも「表紙買い」であったといえる。
前に『閉じられた環』で触れたように、
この本も、思わぬお楽しみ満載の本だった。
主人公ブレッタが花屋さんだから、
お花が絡んでくるのは当然のことではあるが、
いくつかあげてみると、
・フラワービジネス
・アーミッシュの生活
・葬儀ビジネス
被害者がブレッタと花卉の取引のある
アーミッシュの男性だったので、
アーミッシュのコミュニティについても
さまざまなことを知ることができる。
また、未亡人ブレッタが夫を失った悲しみの中、
ダイエットも敢行中なので、
ダイエットや食べ物に関わる記述も興味深く読めた。
アメリカの日常の暮らしについて、
小さな発見がちりばめられている。
もちろん、肝心のミステリについても、 マニアックではないけれど、 充分楽しむことができた。 読み終わった今、とても満足している。(シィアル)
『フローリストは探偵中』 著者:ジャニス・ハリソン / 出版社:集英社文庫
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管理者:お天気猫や
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