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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年01月19日(金) --

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『ガラスの城』

去年の春、偶然、電車の中で、『ガラスの城』という、 随分昔のマンガを読んでいる女子大生を見た。 何と大昔のマンガを・・・ と、なぜ?というクエスチョンマークと共に驚いたことだった。 その彼女の読んでいたのは、 古本屋ででも買ったのだろうか、 もう汚れてぼろぼろになった古いものだった。

その『ガラスの城』が、復刊されていた。 S45年からS46年にかけての作品なのだ。 なんと。もう、30年も前のことである。 歳月を経ても、瑞々しく、いつまでたっても 新鮮さを失わない、そういう物語もある。 しかし、この『ガラスの城』は、お世辞にもそうは言えないし、 "古色蒼然"という言葉こそ、まさにぴったりといえる。 けれど、そこには、確かに当時の少女たちが憧れていた、 贅沢な夢の世界が描かれているのだ。

舞台はロンドン。 (育ての)母親の死をきっかけに、運命に翻弄されるヒロイン・マリサ。 本当は伯爵令嬢でありながら、 姉として一緒に育ったイザベラの計略で、 令嬢としての幸福な生活を奪われ、 イザベラの召使として、それでも清らかな心で一心に仕える。 エスカレートするイザベラのいやがらせ。 真実が明らかになり、マリサが令嬢として、 実の両親の腕に抱かれるのはいつ?

というようなストーリィが続く。 ふわふわのベッド。白いレースのカーテン。 広々としたお部屋に、大きな窓や 美しい庭と噴水の見えるバルコニー。 贅沢なドレスに、華やかなパーティ。 当時の現実の少女たちの生活は、 今とは大きくかけ離れ、地味で質素なものであった。 海外は遠く、お城で暮らすお姫様というのは、 美しい夢であり、アイドルよりもずっとずっと憧れの存在。 豊かな夢は、少女漫画の中にあったのだろう。 女の子たちの美しい夢の世界。

SMAPの歌の一節にもあったように。 私たちは、すでに、「あの頃の未来に立っている」 この未来の少女たちは… 望めばお姫様のように贅沢に暮らすこともできる少女たちの 夢のお城は、いったいどんなものなのだろう。

そんなことを考えながら、2巻読了。 全何巻かは知らないが、2月までに5巻が発売される予定らしい。(シィアル)


『ガラスの城』 著者:わたなべまさこ / 出版社:集英社

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