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あのP・D・ジェイムズが書いたSF、 というだけで異常なまでのわくわく感を覚え、 持って帰って読み始めるまでの時間がとても 長く感じられた。
読み始めると、やはりジェイムズ。 あえてSFと呼ぶといわざるを得ないだけで、 やはり英国の重鎮ミステリなのであった。
SFというジャンルにカテゴライズされる理由は、 人類が不妊になり、4半世紀が過ぎた2021年が舞台に 設定されているからで、ジェイムズはジェイムズ。 ただ、いつものシリーズと比べると、心理描写の 濃厚な、まとわりつくような重みが多少薄いようにも思える。 お得意の厭世観たっぷりのエピソードには事欠かないが。 自分が年をとって感じ方が変わったのもあるのだろうか。
もちろん舞台は英国で。 女性たちもやはり元気。 探偵ものと違うのは、 おなじみのダルグリッシュが出てこないこと、 「誰が殺したのか」がないこと。 やはり殺人は起こる(私の意に反して)…。
内容に言及するとネタバレになりかねないので 遠慮するが、 次世代の子供が生まれないと、もう文化遺産にも 価値がなくなるし王室も消滅しているという皮肉に 英国の午後の光を見る思いがする。(マーズ)
『人類の子供たち』 著者:P・D・ジェイムズ / 出版社:ハヤカワ文庫
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管理者:お天気猫や
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