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夢の図書館新館

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-- 2000年12月28日(木) --

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『現代〈死語〉ノート』

ついに激動の20世紀も残り僅か、 連日TVや新聞雑誌等では数々の出来事を並べて 今世紀を回顧しています。 政治事件で振り返る20世紀、科学技術で振り返る20世紀、 音楽で振り返る20世紀、ファッションで振り返る20世紀。

一世紀には半分ばかり足りませんが、 戦後50年を一世を風靡した流行り言葉で振り返る、 というのはどうでしょう。 小林信彦さんの「現代〈死語〉ノート」に載せられた死語の定義は 流行語の中でも消費しつくされたあげく闇に消えていく言葉です。 「一億総懺悔」(昭和二十年)から 「カリスマ店員」(平成十一年)まで、 「いくつ覚えているか?」と言われても困るけど、 「いくつ知っているか?」と言われると殆ど何かで読んだ事がある。 言葉としては残っていても、その現象はその時代のものであり、 流行りの発生源とその流行り具合を教えて貰うと なるほどなるほど、と当時の空気が見えるわけです。 しかし平成三年最大の死語が「ソ連」というのは笑いました、 確かにいまだに言っちゃいますよ。

それにしても面白いのは「完全な死語」と断定された言葉が一部、 最近妙に多用されている気がする事です。 口に出してはさすがに言えない。音として聞く事はまずない。 それならどこで使われているのか? ここです。 「昔流行った言葉」という意識が加わわっているので 発生時とはニュアンスは違ってきていますが、 消費の果てに消え去った死語の脱力具合が 非戦闘的な雰囲気を醸し出すためか、軽い読み物や 話し言葉以上、書き言葉未満のインターネットの書き込みに 向いているようです。(ナルシア)


『現代〈死語〉ノート』 『現代〈死語〉ノート2』 著者:小林信彦 / 出版社:岩波新書

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