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クリスマスにふさわしく天使のお話、という訳ではありません。 あのショッキング・ホラー「黒い家」で大ブレイクし、 一作ごとに手法を変えてその技量が高く評価されている 貴志祐介氏のホラーサスペンス、 以前から文庫になるのを楽しみにしていたんです。
少し読み進めばだいたいの話の展開、 登場人物の役割とその運命が分かってしまうので 内容紹介は割愛しましょう。 しかし、その定番的作りが興を削ぐどころか 「くるぞくるぞ」というあのぞくぞく感を煽るのです。 ホラーやファンタジー、ミステリー等のエンターテイメント作品は アイディアは良くても文章がこなれていなくてひっかかったり 展開に無理があったりする事もしばしばですが、 貴志氏に関してはそういった瑕がありません。 作家になる以前に社会で培った人間観察の目と 小説の技巧が作品中に存分に生かされていて、 とても丁寧に仕上げられた土台の上で 思う存分転げ回れ(笑)ます。 ただ、生理的に気持ち悪いモノが嫌いな人だけは やめたほうがいいですね(あたりまえです、ホラーだもの)
私達が直接耳にするわけではありませんが、 全編の基調音となるのは天使の羽音。 主人公達の雑談で「天使は猛禽類だ」 というくだりが印象的です。 天使の絵を描こうとしたことのある人は 皆納得できると思うのですが、人間の身体を持つ天使を 支えるには、鷲・鷹類の分厚い翼でないと似合わないんですよね。 そして神の志を実践する天使にとっては 人間の意志なんてどうでもよいものなのではないか──(ナルシア)
『天使の囀り』 著者:貴志祐介 / 出版社:角川ホラ−文庫
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管理者:お天気猫や
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