バイト探しは、大学受験と同じように次から次に落とされて、数えてみたら3週間で26回落とされていた。 「照和」の翌日から、ぼくは外に出ることをやめた。 いや、外に出ることが怖くなったのだ。
こんなことは初めてだった。 電話に出るのにも、びくついている状況だった。 どんなに晴れた日でも、フィルターがかかっていて、見るもの見るものが暗く見えた。 自分の世界に閉じこもってしまい、ヘンな夢ばかり見てしまう。
昔のことを思い出してばかりいた。 高校時代の仲間達は今頃どうしているんだろう? きっと充実した青春を送っているんだろう。 彼らとぼくのどこがどう違うのだと、運命を呪ったりもした。 このままの状態で、何も出来ず一生が終わるんじゃないかと思うこともあった。 友人が遊びに来たりすることもあったが、以前のような付き合いが出来ない。 たまに行きつけの喫茶店に行ったりもしたが、「あんた暗いねぇ」などと言われ、また落ち込んでしまう。
当時の写真を見てもやはり暗い。 今でもこの時代をぼくの人生から削除したい、と思うことがある。 本当に辛い時期だった。 何もしないぼくを見て、親はいつも小言を言った。 けんかになった。 怒りは親に対してのものではなかった。 自分の運命やふがいなさに対してのものだった。 こんな状態が5月末から7月末までの2ヶ月間続いた。
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