頑張る40代!plus

2006年03月15日(水) オーラの泉

数年前、○店の女子社員M美から「うちのパートさんに霊感の強い人がいる」と聞いたことがある。
何でも、話しているとその人の生い立ちや、その人の家の状況、またその人の守護霊がわかるというのだ。
その話を聞いた時、ぼくは「一度そういう人とお話ししてみたいものやのう」と言った覚えがある。
それから後は、そういう話があったのをすっかり忘れていた。

今回の転勤で、ぼくはいろいろな店を回るようになった。
○店もその一つである。
転勤後、初めてその○店に行った時だった。
おそらく初めて会うだろう人から、「あら、こんにちは」と声をかけられた。
「ああ、こんにちは」
「あなた、今どこにおると?」
「店回りやってます」
「ああ、店回りね。フフ…」
そういう会話のあと、その人は店の中に消えていった。

そのあとでぼくの頭の中を駆けめぐったのは、『あの人誰だろう?』という疑問だった。
そこでいっしょに回った課長に聞いてみた。
「あの人誰ですか?」
「ああ、あの人ね。Hさんと言って、ここで一番古い人なんよ。○店のわからんことは、あの人に聞いたらすぐにわかるんよね。貴重な存在やね」
「そうなんですか」

で、そういう貴重な存在の人と、ぼくはどこで会ったんだろうか?
そういえば、一度M美の紹介で、パートさんが買い物に来たことがあった。
『ああ、あの時の人か…。いや、でもあの時、M美は別の店に移っていたはずだ…。うーん、やっぱり知らん』
結局その日は、思い出せなかった。
しかし、○店にはこれから何度も行くことだから、その時、そのことをHさん本人に直接確かめればいい。
ということで、そのことを考えるのは、そこで終わった。

さて、今日のことだった。
あれ以来初めて○店に行ったのだが、今日はHさんは見あたらなかった。
ところが、ぼくが帰ろうとした時だった。
後ろから、「しんたさん」という声がした。
振りかえると、そこにHさんがいた。
「あ、こんにちは」
「もう仕事慣れた?」
「いや、まだまだ慣れませんよ。肉体労働なんで、体中が痛くて…。でも、前みたいにお客さん相手じゃないから、気疲れはしませんけどね」
「ああ、そうやね。前に来た時お話がしたかったんだけど、しんたさん忙しそうだったからね」
「そうですか…」
そんなやりとりをやっているうちに、時間がやってきた。
今日も忙しかったのだ。
そこで「じゃあ、また来ます」と言って、ぼくは帰ったのだった。

帰る車中、ぼくは『一体何の話だろう?』と考えていた。
その時、ふと数年前のことを思い出した。
『そういえば、前に、○店に霊感の強い人がいると聞いていたけど、ひょっとしてHさんのことか?』
しかし、ぼくはM美から話を聞いただけで、別に会ったわけではない。
もしその時に、M美が「しんたさんという人が『お話してみたい』と言っていた」とHさんに言ったとしても、ずいぶん前の話なので、もう忘れているだろう。
「うーん」
疑問は深まるばかりだ。

そういう折だった。
部署に帰ったぼくが、やることもなくボーッとイスに腰掛けていると、そこに例のM美が現れた。
そこでぼくは、「M美、前に○店に霊感の強い人がおると言ってたやろ?」と聞いてみた。
「うん」
「それ誰のこと?」
「Hさん」
「やっぱり」
「何で?」
「いや、Hさん、おれのこと知っとるんよ」
「ああ、あの時、Hさんにしんたさんの話したけね」
「でも、それずいぶん前のことやないか。普通、話だけやったらすぐに忘れるやろ。それにあの人、おれの顔も知らんはずなのに、あちらから声をかけてきたんぞ」
「そうよ。あの人、そういう能力があるんやけ」
「えっ?」
「たぶん私が話した時、しんたさんの顔が見えたんやろうね」
「えーっ!?そんなに霊感が強いんか」
「うん。あの時言うたやないね」

大変な方と知り合いになったもんだ。
今度から、一歩引いて話をせないけんなあ。
いや、待てよ。
それだけ、霊感が強い人なら、ぼくの将来なんか手に取るようにわかるだろう。
そうだ。
じゃあ今度時間があったら、それを聞いてみることにしよう。
これも一つのチャンスかもしれない。


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