頑張る40代!plus

2005年12月17日(土) テルちゃん

昼過ぎ、仕事が一段落した頃だった。
スエちゃんというパートさんが、目を輝かせて売場にやってきた。
「しんちゃーん」
「おっ、スエちゃんやん。どうしたと?」
「今ね、そこでイトキョン見つけたけ、手を振って『イトキョーン』と呼んだんよ。そしたら、イトキョンは両手振って『いやーん、イトキョンと呼ばんで』と言ったっちゃ。かわいいね、あの人」
「そうかねぇ。ただボーッとしとるだけよ」

スエちゃんとは、小太郎君の売場のパートさんで、この日記の古くからの読者である。
記事で読んで、前々からイトキョンのことが気になっていたらしいのだ。

スエちゃんが戻った後、さっそくぼくはイトキョンのところに行って、そのことを聞いてみた。
「あんたさっき、スエちゃんから『イトキョーン』と呼ばれたやろ?」
「そうっちゃ。突然『イトキョーン』とか言うんやけ、ビックリした」
「スエちゃん、声が大きいけね」
「あの人も、しろげしんた見よると?」
「うん。古くからの読者よ」
「ふーん。ねえ、あの人の名前、何と言うんかねえ?」
「さっきから何回も『スエちゃん』と言いよるやろ」
「あっ、そうか」
「あんた、スエちゃん知らんと?」
「いや、顔は知っとるんやけどね」
「ああ、そうか。あまり売場同士で行き来せんけね」
「うん。私あまりこの店の人、知らんっちゃ」
「ふーん」
「ねえねえ。で、その『テルちゃん』って、本名何というと?」
「えっ、『テルちゃん』ちゃ誰ね?」
「さっきしんちゃんが教えてくれたやないね」
「誰も『テルちゃん』とか教えてないよ」
「うそ。さっき言うたやないね」
「おれは『スエちゃん』と言ったんよ」
「あっ…」

あいかわらずイトキョンは、人の話を聞いてない。
まだ昼過ぎだというのに、イトキョンの頭の中はすでに夕飯モードに入っていたのだろうか?


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