しかし、それも長くは続かなかった。 手剃りに比べると深く剃れないのだ。 そのため、いつも剃り残しがあるような気がして嫌だった。 さらに、シェービングフォームをつけて剃っていたため、表面のメッキがはげ、そこに錆が入ってきた。 見るからに汚らしいので、だんだんそれを使うことを避けるようになり、いつしか元の手剃りに戻ったのだった。
それからしばらくして、また手剃りに飽きてきた。 そこで、新しいシェーバーを買うことになった。 次に手にしたシェーバーは、ブラウン製だった。 手剃り並みの深剃りが出来ると聞いて、それに飛びついたのだ。
確かにブラウン製はよく剃れた。 剃った後に血が出ていることもしばしばで、「さすが宣伝通り、手剃り並みだ」と変に感動したものだった。
しかし、ぼくは次第にその機種に飽きてきた。 なぜなら、手入れが大変だったからである。 その当時のブラウンは、まだ水洗いが出来なかったため、ちょと油断すると、すぐにヒゲが刃にこびりついてしまうのだ。 そうなると、ヒゲを剃っている時に、前のヒゲが逆噴射してくる。 剃ったあとを触ってみると、必ずヒゲの粉が肌についているのだ。 当然掃除しなければならないのだが、水洗いできないため、どうしても刷毛だけの掃除になってしまう。 ところが、刷毛の腰が柔いため、こびりついたヒゲが取れない。 そのため、何度掃除してもヒゲの粉が逆噴射してくる。
そこでまた新しいシェーバーを買うことになった。 次は、ナショナルの水洗いの出来るタイプだった。 リニアモーターを搭載していて、ナショナルにしては深剃りが利いた。 水洗いできるので、剃った後は、その都度水で洗い流していた。 それがよかったのか、剃り味が落ちることもなく、使用した8年間で刃を替えたのは一度だけだった。
さて、なぜ二日も続けてつまらんシェーバーネタを書いたのかというと、つい最近、新しいシェーバーを買ったからだ。 そろそろシェーバーを買い換えようかと思い、何気なくブラウンの新製品カタログを見ていると、そこに思わず惹きつけられる一品が載っていた。 黒塗りの、見るからにカッコいいヤツである。 さっそくぼくは、それを注文した。 3日前からその機種を使っているのだが、剃り味は抜群で、剃り終わったあとの肌触りは、手で剃った時とまったく同じなのだ。 しかも水洗いが出来るときているから、清潔である。 充分に満足している。 今度はこの機種を8年以上使おうと思っている。
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