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2005年11月10日(木) おかしな店

今月の1日、Nという家具屋でこたつを買った。
あいにくその日は商品が切れていて、「取り寄せになります」ということだった。
別に急いでなかったので、「かまいませんよ」と言い、入荷したら配達してくれるように頼んだ。

「物は2,3日で入ってくるんですが、配達の方は便の関係で11日になります。それでよろしいでしょうか?」
「11日…、何曜日ですかねえ?」
「金曜日になります」
「ああ、それならいいですよ。ただ午前中は都合が悪いんで、午後からにしてもらえますか?」
「こちらでは時間の指定が出来ないんですよ。いちおう、その旨は書いておきますが、前日に配送のほうから連絡が入りますので、その時改めて打ち合わせしてもらえませんか?」
「ああ、そうですか。わかりました」
ということで、手続きをしたのだった。

どうして11日の午前中がだめなのかというと、その日嫁ブーが健康診断で、ぼくが連れて行かなければならない。
その健康診断は9時から始まるのだが、終わるのは場合によっては11時近くになるという。
それから家に帰ると、11時半になってしまう。
そのために午前中を避けたわけだ。

さて、今日のこと。
仕事中、携帯に電話が入った。
出てみると、例のN店からだ。
「N店の配送センターの者です」
「はい」
「明日の配達の件で、お電話差し上げたのですが」
「はい」
「明日は午前中に伺うことになってますが、それでよろしいでしょうか?」
「えっ、午前中ですか?」
「はい」
「午前中は都合が悪いんですが」
「そうなんですか」
「午後からになりませんか?」
「午後からは他の地域を回ることになってますので、行けないんですが…」
「それは困りましたねえ。買った時に、午前中は都合が悪いので午後からにして欲しいと頼んでたんですよ。そしたら、配送の方と打ち合わせてくれと言われたんですよ」
「あ、そうなんですか。でも、もう決まっていることなんで、動かせないんですが…」

これがN店の打ち合わせのやり方である。
打ち合わせでも何でもない。
ただ、自分たちが勝手に決めた時間を、お客に押しつけているだけなのだ。

その人は、あげくにこんなことを言い出した。
「じゃあ、提案なんですが、後日の配達ということではだめでしょうか?」
「後日っていつですか?」
「そうですねえ、最短で14日の月曜日になります」
「14日は仕事なので、家には誰もいません。その次はいつですか?」
「次はですねえ…、17日の木曜日になります」
「それもだめです」
「じゃあ、どうしたらいいでしょうか?」
こちらが、どうしたらいいか聞きたいくらいである。

だいたい配達を後日に回すだけのことで、『提案』という言葉を使うだろうか。
しょせんその程度の店なのだと思ったぼくは、「もういいです。こちらから取りに行きます」と言った。
「あ、そうですか。じゃあ、手続きを取りますので、いったん電話を切ります」と言って、先方は電話を切った。

それからしばらく電話はかからなかった。
『配送便に乗せなければいいだけなのに、いったい何の手続きをとっているのだろう? 配達時間を報告することを「打ち合わせ」だと言ったり、配達を後日回しにするのを「提案」だと言ったり、おかしな店だ』
電話を待っている間、ぼくはそんなことを思っていた。

30分ばかり経って、ようやく電話が入った。
「はい、店渡しの手続きが完了しました。で、お客さんは、何時頃取りに見えますか?」
「えっ、店に取りに行くんだから、いつでもいいんじゃないんですか?」
「いや、いろいろ準備がありますんで」
「じゃあ、11時から1時の間に行きます」
「11時から1時の間ですね。はい、わかりました。じゃあ、その時間帯に準備しておきます」
たかが店渡しに何の準備がいるのだろう。
しかも店に取りに行くのに、時間帯を言わなければならないとは…。
いよいよおかしな店である。

ということで、明日は余計な仕事が増えてしまった。


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