さて運命の月である。 これからぼくはどう変わっていくのだろう。 それを占いの人は教えてくれなかった。 ただ言えることは、ぼくが夢を見て生きていくことにした、ということだけだ。 ということで、今日は風呂の中で夢を見ていた。
風呂の中で本を読んでいる時だった。 突然『ビービー、ガーガー』という音がしてきた。 「何だろう?」と思っていると、突然目の前にテレビが現れた。 画面は白黒画像で、最初ぼやけていたが、だんだん輪郭がはっきりしてきた。 一人の少年が映っている。 どこかで見たことのある顔をしていた。 ぼくがじっとその画面を見つめていると、少年はおもむろに口を開いた。
少年「あのー」 おいちゃん「‥‥」 小「あのー」 お「‥‥」 小「おいちゃん、返事してください」 お「えっ? おれに言いよると?」 小「そうですけど」 お「あんた誰?」 小「しろげしんたといいます」 お「えっ?」 小「おいちゃん誰ですか?」 お「おれも、しろげしんたというんやけど…」 小「えーっ。ホントですか?」 お「うん」 小「何で同じ名前なんですか?」 お「知らんよ、そんなこと。ところで、あんた何しようと?」 小「スーパージェッターを見ていたんです。そしたら、急にチャンネルが変わって、おいちゃんが出てきたんです」 お「えっ、スーパージェッターって、そこは今何年?」 小「昭和41年です」 お「昭和41年…?」 小「はい」 お「あんた今何年生?」 小「小学3年生です」 お「何組?」 小「4組」 お「教室は2階やろ」 小「うん」 お「担任の先生の名前は?」 小「Y先生」 お「4月に、教室から1階のテラスに唾はいて、それが女子の頭にかかって怒られんかった?」 小「怒られた」 お「…そうか」 どうやらぼくは、39年前の自分を見ているようなのだ。
小「おいちゃんは何してるんですか?」 お「風呂に入っとるんよ。そしたら突然目の前にテレビが現れて、あんたが出てきたんよ」 小「へえ」 お「もしかしたら…、もしかしたらなんやけど、おれ、あんたの39年後の人かもしれんのよね」 小「えっ、そうなんですか?じゃあ、ぼく、今月9歳になるから、39年後というと…、えーと、おいちゃんは今月48歳になるんですか?」 お「うん」
小「おいちゃん、仕事は何やってるんですか?」 お「販売の仕事」 小「販売って、何の?」 お「主に電化製品」 小「えっ、ぼくはそんな仕事はするつもりないけど…」 お「その時はそうやったけどね、成り行きでそうなったんよ」 小「成り行きって何ですか?」 お「そのうちわかる」
小「結婚してるんですか?」 お「うん」 小「お嫁さんの名前、何と言うんですか?」 お「ユキ」 小「えっ、M子じゃないんですか?」 お「何でM子なんね?」 小「だって、ぼくM子と結婚の約束したんですよ」 お「M子はねえ、小学校3年と4年の時だけの話。それからいろいろあるんよ」 小「いろいろって何ですか?」 お「…そのうちわかる」
|