昨日書いた友人の話である。 本を返してもらった後に、いろいろと昔話をしていたのだが、突然その友人がこう言った。 「この会社に、親戚の人が働きよるっちゃね」 「この会社に?」 「うん。おれのいとこになるんよ」 「ふーん」 「この間、そこのお母さんが亡くなってね、それで葬式に行ったんやけど、その時いとこに『どこで働きよると?』と聞いたら、この会社やん。そこで『その会社なら友だちが働きよるよ』と言ったんよ」 「うん」 「『名前、何と言うと?』と聞くんで、『しんた』と答えたら、びくりして『えっ、しんちゃん!?』と言うんよ」 「えっ?」 「飲み友だちとか言いよったよ」
ぼくは今の会社に中途で入っているため、ぼくを知っている人はそんなに多くはいない。 なのに、『しんちゃん』である。 いったい誰だろうと思い、聞いてみた。 「ああ名前ね。Kというんよ」 「えーっ、K!?」 Kとは、ぼくが今働いている店の、前の店長の名前である。 確かにこの間、Kさんのお母さんは亡くなった。 それで葬儀に行ったのだが、それがまさかその友人の親戚だったとは知らなかった。
実は、Kさんは、ぼくが今の会社に入った時、ぼくの部門の担当課長だった。 最初Kさんと会った時からウマが合ったというか、初めて会った気がしなかった。 Kさんも、それは同じだったようで、何かとぼくを目にかけてくれていた。 Kさんが友人に語ったように、何度も飲みに行ったし、何度か家に遊びに行ったこともある。 「しんちゃん」「おいちゃん」の仲だったのだ。 そういう仲だったので、そのKさんが今ぼくがいる店の店長だった時に、ぼくは呼ばれたわけである。 4年間いっしょに働いたが、その間のことは、何度かこの日記にも書いている。 その後Kさんは上の者に疎まれて、他部門に異動になったのだった。
しかし不思議なものである。 ぼくがウマが合うと思った人間は、必ずと言っていいほど、裏で何らかの繋がりがあるのだ。
例えば、友人のオナカ君がそうである。 オナカ君とは、高校1年の時に初めて会ったのだが、Kさんと同じように、初めて会った気がしなかった。 つまり、ウマが合ったわけである。 そのオナカ君とぼくとの間には、将来親戚になるという繋がりがあったのだ。 おそらく、最初に会った時、ぼくは潜在的にそういう予感を持っていたのだと思う。
もう一つの例がある。 長崎屋にいた頃、ウマが合った人に、Nさんという方がいる。 その人も、将来繋がりを持つことになるのだ。 Nさんはぼくと知り合ってから数年後に結婚するのだが、実はその相手というのが、ぼくの母親の親友の娘だったのである。 もちろん結婚した当初は、誰もそのことを知らなかった。 知ったのは、Nさんが結婚してから何年か経った後のことだった。
だけどKさんの件は驚いた。 その友人は保育園から中学にかけて、一番の友だちだったのだ。 ウマが合うためには、きっと裏でそういう強い繋がりがいるのだろう。 ということは、出会いからウマが合った嫁ブーとも、どこかで繋がりがあるはずである。 ということで、今、嫁ブーとの裏の繋がりを探っている。
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