頑張る40代!plus

2005年10月04日(火) 19才の嘆き(1)

【1976年10月4日】
予備校が終ったあとで、駅前書店に行った。
面白そうな本はないかと思って探していたのだが、見あたらなかった。
しかたなく帰ろうと思い、外に出た。
その時だった。
見たことのある人が通っていて、「ふふ」と口を押さえて過ぎていったのだ。
ハッと気がついて後ろを振り向いたのだが、もう誰もいなかった。
考えてみると、高校を卒業してから、ずっとこんな毎日が続いているような気がする。
‥‥‥。

※後に、この日記を引用して歌を作ったのだが、それでは、
『見たことのある人が、
 笑いながら過ぎていった
 振り返ってみても誰もいない
 ねえ、これが毎日なんだ』
となっている。


【1976年10月12日】
いかさま師がたくさんいる。
いや、ぼくの周りのほとんどがそうだ。
前後左右、みんなみんな嘘の塊だ。
こういう人たちを『偽者』という。
彼らはその態度を利益に結びつけようと考えているんだ。
だが、そうはいかない。


【1976年10月16日】
今日、井筒屋(地元のデパート)の屋上で約2時間、黙りこくって座っていた。
いろんな人が入れ替わり立ち替わり、ぼくの前を過ぎていった。
やくざらしき人、女子学生、小学生、子連れ夫婦、カメラを持って何かを待つ人、パイプをくわえた人、杖をついたじいさん、その孫、疲れた労働者、画家らしき人、デパートガールと一人の男…。

※かつて、デパートの屋上のベンチに行くと、いつも多くの人が腰掛けていたものだ。
そこには、ソフトクリームを食べている人、恋を語らっている人、待ち合わせをしている人などがいた。
そういう人に交じってぼくも座っていたのだが、何をやっていたのかというと、ずっと下の道路を見ていただけである。
つまり、暇だったわけだ。


【1976年10月19日】
今日もまた、井筒屋の屋上にいた。
それにしてもアベックの多いこと。

歯医者に行った帰りに、Tと遇った。
半年ぶりだ。
Tは高校時代と比べると、少し痩せたように思えた。

※T君とは、それ以来29年間会っていない。
もう顔も忘れた。


【1976年11月14日】
自分の中にある『偽者』とか、『虚栄心』『名誉心』といったものに、いつもあきれさせられている。
こう聞く。自分の欠点を気にしていると、もし同じ欠点を持った者に出くわした場合、我が心中は乱れ、その人に嫌悪感を抱くようになるものだと。
こういう心境にさせられる人間が、ぼくの周りには実に多くいる。
まあ、逆に考えたら、そういう人たちもぼくのことを嫌悪しているのだろう。


【1977年1月10日】
ぼくは、真面目で不良で、陽気で陰気で、温かくて冷たくて、熱しやすく熱しにくく、大胆で臆病で、積極的で消極的で、普通の人で変わった人で、正常で気違いで、活発で大人しく、外向的で内向的で、鋭くて鈍くて、時に真面目で時にいいかげんで、…。
もうとりとめがないのです。

元々そんなとりとめのない性格なのかというとそうではなく、実はそういう人だと他人に見せて、遊んでいるだけなのです。
それも、ある一面だけでは面白くないので、毎日毎日違った自分を、その時の気分で組み合わせて見せています。
だから強いぼくしか知らない人や、普通のぼくしか知らない人や、弱いぼくしか知らない人が出てくるわけです。

きっとこういう人間は、いつまでたっても成長せずに、人に非難され、バカにされるのでしょうね。


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